大人オリジナル小説
- だって,寂しかったから ( No.259 )
- 日時: 2011/06/05 10:42
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc
変わって行くことに,恐怖を感じた。
新しいものが好きで,だけど苦手だった。
身体が拒絶するんだ。「いやだいやだ」とダダをこねる。
「い…ッた」
胃が,関節が,脳が,腕が,足が,背中が,骨が。
新しいに馴染むまで,私は身体をなだめるんだ。
つらいを言葉に出来なくて,無意識に強がって,痛みは悪化する。
――笑顔の代わりに,心からの言葉を。
――涙の代わりに,優しい言葉を。
そう言っていた過去の自分。彼女は段々と遠ざかって行く。
笑顔の代わりに涙を,言葉の代わりに涙を。
泣いて良いよと,笑うのは後で良いよと,表の自分はそう言って。
表面からの刺激にたった一人で耐えている自分はそう言って。
なんでよあなたが一番泣きたいはずでしょって思ったけれど。
ああそういえば,自分は元よりひとりだったなと,今更ながらに気付いてしまった。
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