大人オリジナル小説
- バケツ一杯の水を零さないよう、こぼさないよう ( No.367 )
- 日時: 2012/09/02 13:49
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc
橋本紡さんという小説家さんが書かれている本の中に、『彩乃ちゃんのお告げ』という本がある。
彩乃ちゃんという、不思議な力を持った少女と、彼女を取り巻く大人たちの短編集だ。
そのうちの一編が、「彩乃ちゃんを預かることになった女性の話」で。
女性は、「人間って言うのはバケツを持ってて、バケツが水でいっぱいになってしまったら抱えきれなくなってしまう。そのバケツがとっても大きい人がいれば、とんでもなく小さい人もいる」と言っていた。
きっと私のバケツは、私の身体の大きさの半分程度だ。
「一人で抱え込むな」
という言葉を、友達にもらっていた時期がある。
一人で抱えて、ぐじぐじするくらいなら、吐き出せと。
それは、バケツの水を持っててやるよ、ではなかった、ことに気付いたのはつい最近のことだ。
「お前はお前のバケツ持ってろ。私は私のバケツ持ってる。だけど、後ろから支えてやることくらいしてやるから、一人で抱え込んでんじゃないよ」
そういうことだった。
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