大人オリジナル小説

04 「あまりにも悲しい真実に,心と喉がすごく痛い」 ( No.4 )
日時: 2010/03/26 20:34
名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc

04 その時はまた


 美早希の姉は姉妹間差別の犠牲者だと思う。最近美早希が気がついた事だ。
 美早希の姉は思春期,小学五年生の頃,美早希は年中だった。何らかの理由で美早希の姉――史恵はとてもイラついていて,そのストレスを発散するのが美早希だった。

 口うるさくなる年頃で,その妹に更にストレスを感じていたのか,良く暴力をふるった。美早希も負けじと言い返し泣きわめいていたのでいつも味方がつくのは美早希。親はいつも史恵を叱った。そのせいで史恵は家出・自殺・虐め・反抗など色々な事を試み,それをいつも己の敵だと感じていた親に止められ……苦しい毎日だっただろう。
 リストカットは,してなかったと思う。


 美早希はいつも母に「お姉ちゃん可笑しいね,呆れるわ」と言われていた。そのせいか,姉に対し冷たい態度をとっていた。
 史恵は,耐えていた。


「ごめんね,お姉ちゃん」


 気付いた時は遅くて,史恵はすごく良い笑顔で笑ってる時で。その「ごめん」の意味を理解してくれなかった。悲しいと思う反面,嬉しかった。



 姉妹間差別が原因で,リストカットをする人はたくさんいる。
 姉であるが為に,重たいプレッシャーに圧し負けそうになり,厳しく叱られる。妹であるが為に,姉に虐められ恨まれ悲しみを多くもつ。

 悲しい。



 いつか史恵と美早希が過去の事を語り合う日が来たら,その時は。


「笑って話せるようにしてよね,お姉ちゃん」






「似ているが為,同じ血が流れてるが為」
「比べられてしまうのが使命なら」
「私はこのまま消えた方が」
「きっと幸せ,絶対に幸せ」


04/終