大人オリジナル小説

Re: 終わらない戦い ( No.100 )
日時: 2010/12/30 18:25
名前: 鈴蘭


キーンコーンカーンコーン…

一時間目の

終わりを

告げる

チャイムが

鳴った



「…行こっか」
香奈美の強い言葉に二人は、ゆっくりと重い腰を上げた。

行き先は、そう

1−4の教室、だ。


「終わります。礼」
「ありがとうございましたー」
授業からの解放感からみんなが騒ぎ出す。


「あー!やっと終わったぁっ」
「ね、あの3人帰ってこなかったね」
「そうだねー洵ちゃん1人だったし」
「ははっ、かわいそう?」
「くすくす…」

女子たちは洵に聞こえないように小声で話しているつもりだが、洵の耳にはばっちり届いている。
「洵ちゃん」
突然、声をかけられた。
「……高塚」
声のしたほうを見ればそこにはさっきまで手紙交換をしていた高塚がいた。その後ろには学級委員の藤井 龍一もいれば、学年一モテると言われる日高 稜刀までいる。
「…ごめん」
洵は一言、謝った。ただ、純粋に自分の過ちを認めた。
「…別に、いいよ。もう終わったこと、だろ?」
高塚は洵を許した。

「…ありが、とう」
洵がここまで素直なのは珍しいことだった。

高塚と話をしていると、クラスの女子の1人――もとい、凜果が声を上げた。
「あそこにいるのって…!」
視線の先には3人組が。

「…かお君」

洵の頭は薫でいっぱいになった。



薫は、震えていた。そんな薫を見て香奈美はただ「大丈夫だから」とだけ言っていた。
「…ここから教室見えるね」
榛名の言葉が心に突き刺さる。
「ああ
「!」
榛名は凜果の視線に気がつく。
「……見つかっちゃった、ね」
香奈美の冷静な一言。香奈美が言った直後、榛名は走り出していた。
「凜果ーっ!ごめんねー…」
「いいんだよっ…体、大丈夫?」
天然の凜果はサボったということに気が付いていない。本気で体を心配してくれていた。
「うん!もう大丈夫!」
榛名はクルリ、と薫のほうを向いた。そして薫に近づくと耳元で小さな声で言った。
「頑張って、ね」
小さな声だったので周りにいた香奈美や凜果は聞き取れなかったが、香奈美はあのことだろうな、と思っていた。