大人オリジナル小説
- Re: 終わらない戦い ( No.106 )
- 日時: 2011/01/22 16:11
- 名前: 鈴蘭
「かお君…何処行ってたの?」
洵の笑顔が怖い。
「ちょっと…保健室行ってた」
すぐバレる嘘だと分かっていても、そう言うしかなかった。
「…そっか」
洵に何か言われるかと内心怯えていた薫だったが、洵が何も言って来ない為ほっとした。
「かお君」
洵に名前を呼ばれ吃驚する薫。
「何…?」
控えめに返事をする。
「今まで、ごめん」
洵の口から出てきたのは謝罪の言葉だった。
「………え」
思わず変な声が出てしまった。
「な、洵、ちゃ……?」
洵は一瞬悲しそうな顔をすると、すぐに薫と向き合った。
「気が付いてたよ。かお君が僕のことを嫌っているって」
洵が薫の眼を捕らえる。薫は眼を離せないでいた。それが洵の威圧からなのか、それとも図星を当てられたからなのかは分からなかった。
「そんな、こと……」
2秒の間。
洵はこれで確信した。
「ごめん、それと」
洵は、息を呑んだ。
「今まで有難う。こんな僕と仲良くしてくれて有難う。たくさん迷惑掛けたよね、自己中なこと言ってごめんね」
洵の目には涙が浮かんでいた。
薫は内心ほっとしていた。
「…もう、かお君の前から消えるね。さよなら、かお君」
洵は高塚のいるほうへと歩いていった。
これを機に洵が薫の前に現れることはなかった。
そう、この日までは………
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