大人オリジナル小説

Re: 終わらない戦い ( No.12 )
日時: 2011/04/16 15:40
名前: 向日葵

キーンコーン・・・

1時間目を告げるチャイムが鳴った。
まだ里香は泣いていた。


突然、一番廊下側の席の鮎湖が皆に来たことを知らせた。
「先生来てる。あと10秒ぐらい」
「ふぅん・・・一応策を練っておくか・・・」
咲恵はそう言い、自分の机を離れ歩き出した。









・・・里香の机に向かって・・・











それにつられて、榛名と香奈美も歩き出す。鮎湖は座ったままだ。
里香はまたもやビクッと震えた。どうやら目の前にいる咲恵ににらまれたようだ。
「里香ちゃん大丈夫ぅ?」
「え」
クラス全員がそう心の中で思ったであろう。口には出さないだけで。


「席付いてー・・・どうしたのかな?」
担任教師はクラス内の異変に気づくと、里香の方へと近づいて行った。
「先生」
鮎湖が挙手した。
「なんですか、杉山さん。なにか知っているんですか」
鮎湖はそう言われると、素早く説明した。
「先生、中学校時代に仲の良かった内原さん、町田さん、山本さんそして浦田さんが話していて、浦田さんが懐かしさのあまり泣いていた・・・それだけの事です」
きっぱりと断言した鮎湖。その様子に負けた担任教師。
「わかった・・・でも杉山さん、なぜあなたが知っているんですか?」
鮎湖の席と里香の席とでは、十分な距離がある。その事を聞きたかったのであろう。この疑問にも鮎湖は迷いなくこう答えた。
「私もその場にいたからですよ、先生。でも途中からはここの席で予習していたんです」
「・・・わかりました。そこの3人も席に着きなさい。そして浦田さん、あなたも懐かしいのはわかるけど友達に迷惑かけちゃだめだろう」
「・・・・・・・はい・・・すみませんでした・・・」
意外なことに浦田は鮎湖のウソに合わせて来た。これには浦田らと違う中学出身の人はびっくりした。
「・・・はい、じゃあ授業はじめます、号令」
「きりーつ・・・」



〜1時間後〜




「はいじゃあ終わります、令!」
「ありがとうございましたぁ!」
ガラッと担任教師は出ていく。

出て行った瞬間、咲恵・榛名・香奈美・鮎湖の周りに1つの「群れ」ができた。この4人は質問攻めにされた。

「ねぇねぇえっと、杉山さんってさどうして先生来るの分かったの?」
鮎湖は一瞬困ったような顔をした。その顔を見てか、咲恵が代わりに答えた。
「んーっとね、鮎湖はね耳がすっごくいいの!一度に何個もの音を聞き分けられるんだ!だからさっきは先生の足音を聞いて分かったんだよ。ねっ?鮎湖!」
「うん。うちの家系代々耳がよくて・・・」
「へぇー・・・すごいねぇっ!」

「はいはい!えっとさ、良く勇気あるよね・・・その、あの子をいじめる」
遠慮がちに聞いてみる。同じ学年、同じクラスなのだが、この4人はほかのみんなに比べると妙に大人っぽかったため、どうしても遠慮がちになってしまう。

「・・・」
静寂がしばらく続く。
「あはっ!そんな事かぁ!」
「うちらに勇気なんてないよ。ただ単に気に入らなくて、ちょっかい出してるだけだよ」

「あはっ」と笑い声がクラス内に響く。

そんなクラスが里香には許せなかった。だが口に出して言う事は無かった。












あの4人には












私の弱みを













握られているのだから











さっきも・・・そう











咲恵ちゃんが耳打ちしてきた・・・



















ばれちゃ困るから・・・私は・・・従うしかない・・・



ちょい疲れたから止める〜(−−〆)