大人オリジナル小説

Re: 終わらない戦い ( No.140 )
日時: 2011/02/15 21:13
名前: 鈴蘭











それは、突然やってきた。












「束田ってウザくない?」












一部の女子の中で広まったこの話題は瞬く間に学年全体に広まった。





それだけ、彼女たちの―――女子の影響力が強いということ。





学年全体に広まれば当然、本人の耳にも届くわけで。



「はぁ!?何それ!誰が言ってんの!?」



束田 綾はとある女子の胸倉をつかみ、ことの発端は誰か、と脅していた。




「っ……美紅ちゃんと…愛花ちゃん……」





弱々しい声で彼女は答えた。









「………はぁ?」









綾はさっきよりも強い力で彼女の胸倉を締め付けた。彼女は苦しそうだ。






美紅に愛花。
新学期になり、はじめて仲良くなった2人だった。
だが最近、綾はこのグループを抜け出そうとしていた。
美紅がうっとおしく感じるようになったのだ。
それを美紅に感づかれたのだろうか。

美紅のことに関してはまだ理由がはっきりしているが、はっきりしないのが愛花だ。
愛花が何故このことを流しているのか理解できない。

しばらく考えていると、あまり力の籠っていない彼女の右手でたたかれる。

「綾ちゃ、っ苦しいっ…!」


綾はその声に、「ああ。そうか」と言って胸倉をつかんでいた右手を離した。
離すと同時に彼女は大きく咳き込んだ。
「ごほ…っ…はっ…ごほごほっ!」

「………」


綾はそんな彼女の様子に見向きもせずに歩きだした。



彼女は咳き込みながら、
束田綾……絶対に、許さない……
と思っていた。



「ほなちゃん?」
「那美…!」
ぱあっと笑顔を輝かせる、彼女もとい田中 帆波。その横には駆け寄ってきた小林 那美。
「ほなちゃん大丈夫…?」
言い方からしてさっきの綾とのやり取りを見ていたのだろう。
那美は心配そうに帆波の顔を覗き込む。
「だい、じょうぶだよ」
にこっ、と笑って見せた。

内心が全然穏やかでないことを、那美は知らない――――…