大人オリジナル小説

Re: 終わらない戦い ( No.160 )
日時: 2011/03/02 17:29
名前: 鈴蘭


(うーん…これどうすっかなぁ…)
手元には井口が不在だったために提出することのできなかった課題。
(先生がいないんじゃしょうがないよねー…まぁ明日でもいっか!)
榛名は廊下をスキップで走って行った。


そのころ教室では……
「お、鮎おかえりー」
部活をやっていた鮎湖が帰ってきた所だった。鮎湖はスクールバックに入っているタオルで素早く汗をふく。そして先ほど自販機で買ったスポーツドリンクに手をつける。
「ただいま……あ、ガジョ?」
鮎湖は咲恵の姿を見て眼を丸くした。
「うん、こっちに戻ることにした!だから宜しく頼むぜぃ」
「あ、うん」
なんだかあっさりと了解した鮎湖。
ちょうどそこに上機嫌の榛名が帰ってきた。
「たっだいま〜!あ、鮎おかえり」
「あれ?課題提出しに行ったんだよね?」
咲恵が疑問に思うのも無理はない。そこで榛名は説明し始めた。
「あぁ、えっと…井口先生、河崎達のお説教で居なかったんだよねー…」
あはは、と笑いながら言う榛名。

榛名に続き、

「また怒られてんの?ざまぁ」

と笑う咲恵。これには榛名も香奈美も鮎湖もビックリする。
「ガジョも河崎のこと嫌いなんだ?」
「何言ってんのマッチーあんな奴大嫌いだよっ☆」
笑顔で言ってのける咲恵。これだから女は怖い…
「だよねーww」
あははーと笑う。
香奈美と鮎湖は実感する。
咲恵の存在の大きさに。
咲恵が戻ってくるまで自分たちはこんなにも笑ったことがあっただろうか?

「髪染めたんだってさー」
榛名がポンポンと先ほど仕入れた情報を言っていく。
「馬鹿だねーこの前もマニキュアして怒られてたじゃん」
ぷっ、と馬鹿にした笑いをする鮎湖。
「そろそろ停学じゃないの?」
真顔でそう言う香奈美。
「そうなってくれればどんなに良い事か!!」
と一斉に騒ぎ出す4人。

そんな空気にミスマッチな人が一人。
薫の帰りを待っている洵だ。
黙々と本を読み続けていた洵だったがいい加減煩かったのか騒いでいる4人に冷たく言い放った。
「煩くて読書出来ないんですけど」

洵は顔は笑っていたがその後ろのオーラがあまりにも怖かったので4人は逃げるようにして教室を出て行った。
最初に飛び出したのは香奈美。それに咲恵が続き、スクールバックに課題を入れ終わった榛名とスポーツドリンクを手に持ち、タオルを首に掛けた鮎湖が続いた。

洵は一人になった教室で

「かお君まだかなぁ……」

と呟いていた。