大人オリジナル小説
- Re: 終わらない戦い ( No.173 )
- 日時: 2011/03/19 16:51
- 名前: 鈴蘭
朝、鮎湖と咲恵が教室に入ると何故か皆がヒソヒソ話をしている。
「?どうしたのかな…」
鮎湖が不思議がってそう言うと、
「じゃ、私聞いてくるね」
と咲恵がスクールバックを机に置き、人がたくさん集まっているグループに近づく。
「ね、何があったの?」
咲恵の疑問に答えたのは咲恵の一番近くにいた綾だった。
「…帆波が、自殺したらしい……」
「えっ……帆波ちゃんが………?」
咲恵と帆波は『仲良し』では無かったが紛れも無く『クラスメート』だった。同じ教室で学んだ仲だ。少なからずショックを受ける。
「どうしたの、ガジョ」
鮎湖がこちらへ歩いてきた。
「…帆波ちゃんが、自殺したって」
「…!!!」
鮎湖と帆波は中学校の時に同じ委員会に属していた。咲恵よりも関わりがあるため、咲恵よりもショックを受けている。
「…那美、ちゃんは?」
那美とは帆波の親友だ。幼稚園の時からの知り合いで誰もが認める『仲良し』だった。
そんな2人のうちの1人が欠けたのだ。
欠けたのが、那美であっても、帆波であっても。
どちらか1人が必ず傷付く。
2人はお互いに依存しあっていた。
そんな時。
「!那美!」
綾が一番に那美が教室に入ってきたことに気がついた。
「……綾、ちゃん」
「大丈夫?那美」
那美は誰が見ても分かるほどやつれていた。眼のクマに、ボサボサの髪。櫛も通していないだろう。そしてしっかり付けられていないリボン。
「…………」
普段温厚な那美のものとは思えない、殺気の籠った睨み。
睨みつけた相手は―――――
綾
だった。
「綾ちゃんのせいで、綾ちゃんのせいで、綾ちゃんのせいで…っ!!!ほなちゃんを返してっ!!返してよっ!!!」
那美は泣き叫ぶ。
綾は無表情でそんな那美を見つめる。
咲恵は2人の様子をじっと観察していた。
鮎湖は不安そうに那美を見つめる。
「綾ちゃんがっ!ほなちゃんを虐めなければ……っ!!!綾ちゃんのせいなんだっ!!ほなちゃんが死んだのは、綾ちゃんのせいなんだ……っ!!!!」
那美が崩れ落ちる。
「何か言ってよっ!!!」
那美の叫びに、綾の答えは、思いがけないものだった。
「………じゃあ、あんたも死ねば?」
綾は酷く残酷な眼をしていた。
「死んじゃえばいいじゃん。死ねば帆波と一緒にいられるかもよ?」
はは、と笑う綾。
それを見つめる那美。
見兼ねた鮎湖がとうとう動きだした。
「束田、お前が死ねっ!!!!」
鮎湖が綾に飛びかかる。
「!?」
普段はおとなしく、綾にパシられることが多い鮎湖だったのでこんな行動を見せたのは勿論初めてだった。
鮎湖のビンタが綾の頬に炸裂する。
「何!?帆波ちゃん殺しておいて、那美ちゃんまで死ねって!?お前が死ねよっ!人殺しがっ!!!」