大人オリジナル小説

Re: 終わらない戦い ( No.175 )
日時: 2011/03/29 10:45
名前: 鈴蘭

「最近調子乗ってるみたいだけどさー……人、殺すのは不味いんじゃないかな?」

咲恵は笑顔で綾に迫る。綾はガタガタと震えている。

「鮎は感情的になり過ぎ。まぁその気持ちも分からない訳じゃないけどね」

咲恵は鮎湖にスクールバックの中に入っているあるものを取ってきて、と要望する。

「ガジョー、これ?」

鮎湖が手にしているのは、カッター。

「そうそう!有難うー」

笑いながらそれを受け取る。

すると、咲恵の後ろにとある影が。

「へぇ、面白うな事してるじゃん。私も混ぜて?」

まるで一緒に遊ぼう、と言っているかのような言葉。

咲恵は声だけでその人物を判断したのか、振り向かずそのままの状態で口元を吊り上げた。

「いいよー、香奈美ちゃん♪」

咲恵がにっこりと頬笑み、香奈美もそれにつられて笑う。

香奈美の一人称が『マッチ』から『香奈美』に変わっていた。これは咲恵、というよりもこの4人の決まりごとだ。
こういった状況になった場合は名前呼びをしよう、と―――

香奈美はちゃっかりと綾の右腕を抑えている。それに気がついた咲恵が感心したような口調で言う。

「さっすが香奈美!仕事が早いね!次やることももう分かってるっぽいし」

咲恵はすっかり気分を良くしていた。

この状況を何もせずに傍観するクラスメートたち。

話しの分かる仲間。

こんなに騒いでいても誰も駆け付けない馬鹿な教師たち。

すべてが、咲恵の気分を良くする元となっていた。