大人オリジナル小説

Re: 終わらない戦い ( No.190 )
日時: 2011/04/16 16:33
名前: 鈴蘭

傍観者って言うのはいつでも目立つような行為をしてはならない。

束田綾が眼の前で無き叫ぼうが、山本咲恵、町田香奈美、杉山鮎湖、内原榛名が誰を虐めようと。

傍観者には関係ない事だ。

ただ、静かに観察する。

ただ、それだけ。



傍観者は静かに見つめ続ける。






「っく…っ…」
綾が声を押し殺して泣く。
それを見てケラケラ笑う咲恵達。
そんな様子を見る、一人の傍観者。
我関せず、といった感じで本を読む狂愛者。
集団になって「自業自得」等と批判する女子の塊。
廊下で暴れる一部の男子。
見て見ぬふりする仲良し二人組。

誰が、正しいなんてこの場には無かった。


「おはよぉ…・・どうしたのぉ?」
美紅と愛花が教室に入ってくる。
クラスが静寂に包まれた。
「…あ。美紅ちゃんじゃん」
最初に口を開いたのは言うまでも無く咲恵だった。
当の本人は愛花の後ろで欠伸をしている。
「美紅ちゃんも綾ちゃん嫌いだよね?」
「ふぁ……嫌い、だけど?」
美紅はそう言うと自分の席に着き顔を伏せ寝始めた。そんな様子を見て「愛も寝るぅ」と言い美紅の隣に座る愛花。

「…詰まんないの」

咲恵は拗ねたような素振りでそういった。

「…あ。咲恵。時間」
「ふぇ?」
鮎湖の一言でクラスのほぼ全員が時計を見た。現在の時刻は7時50分。8時になったら担任がこの教室に来るだろう。
「榛名と香奈美でその髪の処理お願い。鮎湖は万が一の為に廊下見張ってて。他の皆も、机綺麗にしないと!」
的確に指示を出す咲恵。榛名と香奈美は綾の髪をゴミ箱の奥深くに捨てる。鮎湖は一番廊下に近い場所にいる。その他の人々は机をガタガタと動かしている。綾はまだ放心状態だ。






現在の時刻。



7時59分――――…