大人オリジナル小説
- Re: 終わらない戦い ( No.24 )
- 日時: 2010/07/28 09:15
- 名前: 鈴蘭
前回の続き
ぱさっ…
「あっ!ごめんなさい!大丈夫ですか?」
放課後の廊下で謝る人、それは亜子だった。ぶつかって、紙を落としたのは亜子と同じクラスの委員長、藤井 龍一。
「亜子、てめぇまだ敬語使ってんの?いい加減止めとけばぁ?」
そう言って紙を拾い、スタスタと歩いていく。亜子と龍一は同じ中学出身だ。なので龍一も亜子のこの、礼儀正しい性格を分かっているはずだった。
(藤井君…おかしいな。いつもこんな事言わなかったのに…)
そう思った亜子だったが、思い当たることがあった。
(そっか…浦田さんの事…かなぁ…)
亜子としては龍一の心配など無用だ、と思った。
なぜなら…
亜子は、『仕事』をしているだけなのだから。
この『仕事』とは、浦田 里香に近づき仲良くなっていく。そして里香をかばいながら、咲恵に状況を報告する。
そう。亜子は咲恵に雇われた、いわばスパイだった。
(龍一君もバカだよねー…中学ん時の私を知っているのに。……私は、寄生虫なんだから。クラスで1番目立つグル―プの、寄生虫。……はは…なんだこの寄生虫ってたとえ…)
考えながら1人で落ち込んでいると、声が聞こえた。
「亜…子…ちゃん?」
いつの間にか目の前に人が立っていた。
「きゃっ、えっ?」
そこには、咲恵がいた。
「大丈夫〜?」
なんとも軽い聞き方だ。
「調子悪くされちゃぁこっちが困るんだよね〜…ね、ス・パ・イ・さん」
「あ、はい。大丈夫です。あ、そうださっき浦田さんに聞いたんですけど…あの子、ヒダカくんっていう人が好きみたいなんですよ」
「ヒダカくん」と亜子がいった瞬間、咲恵の瞳孔が一瞬開かれた。
「…それ、ホント?」
「はい。だって、ものすごい笑顔で言ってましたもん」
「ふぅん…面白くなってきたじゃないの…ありがとう。亜子。あんたには感謝するよ。感謝ついでに教えてあげる」
咲恵はいったんここで息をつくとまた話し始めた。
「ヒダカくんっていうのはうちのクラスにいるよ。そして学級委員の木村 美紅の彼氏。日高 稜刀っていうの」
「えっ…!」
(浦田さんは人の彼氏盗むつもり…!?)
「フフ…じゃあまた」
そう言って咲恵は帰っていく。
亜子は茫然と立ち尽くしていた。
終わり〜…名前変わったの気がついた?