嫌だ 嫌だ嫌だ嫌だ!
なんで・・・・・・・・
なんで同じクラスなの!?
正門の前に張り出された紙を見ながら、1人の少女はそう心の中で呟いていた。
周りでは、「やったね!同じクラスだよ!良かったぁ、同じ中学の人がいて」なんて騒いでいる女子もいれば、「よっしゃ、吉田と同じクラスだ!片思いしてきて良かったぁ!」なんて言ってる男子もいる。
皆の心は嬉しい、もしくは寂しいといった所だろうか。だが、この少女は―――・・・
町田 香奈美は、イラついていた。
(あー何で木村 美紅とクラス一緒なわけ!?クラス替えを担当した教師抹殺してやろうかぁ!)
内心ではそう思っていたものの、ある人の声でかき消された。
「マッチ〜!同じクラスだね〜!」
このマッチというのは私の事だ。それにしても・・・
・・・・・・ん!?
「え!同じクラスなの!?」
思わず大声をあげるものの周りの声にかき消される。
「うん。ほら3番内原 榛名!」
「・・・本当だ・・・」
さっきは自分の所と、木村 美紅の所しかよく見ていなかった。だが今見てみると、知っている名前が結構並んでいる。
「榛名・・・これ、中学1年の時同じクラスの人多くない?」
多い所では無い。西中出身全員、中学1年の時の人だった。
「そうなんだよね。ある意味奇跡?みたいな?ま、うちらの学区から近いもんねこの高校。ほとんどの人が受験してたもん」
「ふうん・・・じゃあ、凛果も鮎美も咲恵もいるの!?」
「?・・・うん、ほら10番杉山 鮎美に29番三上 凛果に32番山本 咲恵!」
1人ずつ指を指しながら話す榛名。
するとそこに、鮎美と咲恵がやって来た。
「元気かい?諸君!」
朝っぱらからこんなにテンションが良いのは咲恵。それとは対照的な鮎美。
「さてさて4組の教室に早く行かないと遅れるよ〜?4階なんだから階段きついよ〜?」
「ちょっ、待って咲恵〜!」
「咲恵早すぎ〜!」
「ちょ待って!」
3人がバラバラに叫んだ。それを見ながら笑っている咲恵。
この時はまだ、「平和」だった。