大人オリジナル小説

Re: 終わらない戦い ( No.53 )
日時: 2010/07/28 09:39
名前: 鈴蘭

続き

あの日から2日たっても咲恵は一人、泣いていた。

亜子に裏切られた悲しみからなのか憎しみからなのか、それとも里香に対する怒りの涙なのか。これは本人にしか、分からない。でも…咲恵は普段、泣かないのだ。たとえ親が死のうとも、友達に意地悪されようとも。そんな咲恵が泣いている…

「咲恵、何かあったでしょ。何もないのにあんたが泣くはず無いもの」
そういったのは香奈美だった。香奈美と咲恵は付き合いが長く、小学校の時から仲が良かった。勿論香奈美は咲恵が泣く所を見たのは初めてだ。
「……亜子が、スパイを止めるって…」
声になるか、なっていないかの狭間で咲恵は話しだした。
「…何?そんなことで泣いてんの?」
少しイラついたような声だった。
「!!そんなことじゃない!」
咲恵は香奈美の体にパンチを連続した。香奈美のお腹を目がけて右手から繰り出されるパンチ。香奈美を殴りながらも、咲恵は泣き続けている。
「そんなことでしょう!!」
香奈美が一際大きな声を上げた。咲恵がビクッと震え、手が止まる。
「…何?あんたは今までずっと裏切られる覚悟でやって来たんじゃないの!?あたしはそんなあんただからここまで付いて来たの!それが、何?友達の一人に裏切られただけでこんなにぼろぼろになるなんてねぇ!…もういい。もうあたしはあんたと一緒にいない」

咲恵の心の中で何かが砕ける音がした。

「…っ…いや…嫌だよぅ…何で…何でみんな咲恵を裏切るのぉっ!」

パンッ

良い音が響く。香奈美は咲恵にビンタした。咲恵は驚いている。

「何甘い事言ってんの!?」

それだけ言うと香奈美は咲恵に背を向けた。

「うちらの仲も、これまでだね」

一言告げると歩き出した。

咲恵は茫然と立ち尽くしたままだった。

〜続く〜