大人オリジナル小説
- Re: 終わらない戦い ( No.73 )
- 日時: 2010/12/17 16:57
- 名前: 鈴蘭
続き
榛名・香奈美・鮎湖・薫・幸人・拓斗で話していると、鮎湖は時間を気にしているようだったので榛名は鮎湖に声をかけてみた。
「あゆどうした?」
「あ、うんいやー…先生に呼び出されてて…」
鮎湖は嘘をつくのが不得意で、すぐにバレてしまう。そう。今みたいに。付き合いの長い榛名と香奈美はすぐにこれが嘘だと分かった。だが。
「そうなの?行ってらっしゃい?」
と笑顔で見送った。
鮎湖は一瞬悲しげな顔をした。
だがすぐにいつもの顔に戻っていて、
「いってきます」
と言って走って行ってしまった。
「行っちゃったねー」
榛名がそういうと、幸人は静かに口を開いた。
「てかさ。今の完璧嘘、でしょ」
榛名と香奈美は内心とても驚いていた。
何故、分かったのか
鮎湖は普段から無表情なことで知られている。そのため感情が顔に出にくい。
(な、なんで分かるの…出会ってまだ数分しかたってないのに)
クラスの中で、鮎湖のごくわずかな表情の変化を見破れるのは榛名と香奈美、そして咲恵くらいだった。
「わ、ぐっちーすご…っ」
思わず口にしてしまった香奈美。皆の視線が一斉にあつまる。
「…あゆ、嘘ついてたよ…それにしても!ぐっちーすごいね…あゆの表情を読み取るなんて」
香奈美は幸人に関心していた。
「あぁ…人間観察得意だから」
得意げに話す幸人。薫はどこか嬉しそうに笑っていた。
たわいもない話をしていると、どこかから聞き慣れた声が聞こえた。
「かお君」
その声の持ち主は、薫の最も恐れる者。
「洵ちゃん…」
薫を対人恐怖症にした張本人だった。
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