大人オリジナル小説
- Re: 終わらない戦い ( No.76 )
- 日時: 2011/05/21 17:48
- 名前: 鈴蘭
「はい、道開けてっ」
保健室の先生の声が廊下に響く。何事だ、と担架を覗き込んでくる者もいる。
(あぁ、うっぜぇ)
香奈美は内心、野次に対して怒っていたが、今はそれどころではない。
「階段下がるよー道開けて」
という先生の声に従う者もいれば、反抗する者もいた。その反抗した者は昌弘に呼ばれて怒られていた。
―保健室前―
「ベットに乗せてくれる?」
香奈美たちは、「はい」と返事をすると出来るだけ薫に衝撃を与えないようにゆっくり、静かに乗せた。
「ありがとう…あなた達は教室に戻りなさい」
「はい、分かりました」
榛名は言いたいことがあったが香奈美が「分かった」と返事をしてしまったため発言することが出来なかった。
教室までの帰り道。香奈美たちは沈黙状態が続いていた。
その状態を破ったのは、幸人だった。
「それにしても…ビックリしたよ…じゅん、だっけ?」
「あぁ…顔を見ただけで…」
拓斗も幸人のように顔には出さないが驚いていた。
「仲悪いのか…?」
事情をしらない幸人と拓斗はまだ驚いていた。だが事情を知っている香奈美と榛名は悲しい顔をしていた。
「うんん…元々は、あの二人仲、良かったんだよ…?」
と、榛名が言い放った。それは怒っていおるようにも見えたが榛名は俯いているので前髪が邪魔して顔が見れない。
「榛名!!!」
香奈美が急に叫んだ。どうやら話題には触れられたくないらしい。
「だって…!二人も知りたいでしょ…?」
榛名はいつの間にか涙目になっていた。幸人と拓斗は急に話題を振られ、驚いたが、すぐに答えは出た。
「あぁ…友達の事だもんな」
「俺も…知りたくないと言ったら嘘になる」
二人の心は一致していた。
「………ふー…」
香奈美は覚悟を決めたようにため息をついた。
そして、今まで黙っていた香奈美がゆっくりと話し出す。
「…絶対に、他言しないでね」
幸人と拓斗はコクコクと頷いた。
「東中の…元3年2組の人だけが知ってるんだけど…」
ここから、長い長い薫の昔話が始まった。