大人オリジナル小説
- Re: 終わらない戦い ( No.94 )
- 日時: 2010/12/28 12:17
- 名前: 鈴蘭
―教室―
「何だ!?岩田その授業態度は!」
秋山が声を荒げて怒っている。ことの発端は洵の一言だった。
「先生。授業がつまらないのでサボってもいいですか」と、秋山に言ったのだ。洵は薫がいないことでイラついていた。今すぐにでも薫を探しにいきたいのだが秋山が簡単に許すわけないだろう。その口実を作るためにこれを言ったのだが、どうやら逆効果だったらしい。これは許してくれないな…。
しかも、「いいわけないだろう!」という尤もな言葉に洵が舌打ちしたのも間違いだった。秋山は教師という立場を忘れ、生徒に暴力を振るおうとしたのだ。秋山の右ストレートが洵の顔面に当たろうとしたとき、高塚が立ち上がった。
「まぁまぁまぁ、先生。落ち着きましょうって」
高塚が先生をなだめた。洵はかなり驚いた。
(な…なんで…)
クラスは騒然とした。
みんな考えていることは一緒だろう。なぜ自分を苛める人を助ける?
「先生。…授業を始めてください」
誰の声だ、と思い洵と秋山が振り向くと、そこには
山本 咲恵
がいた。
「…先生、恥ずかしいですよ。…これを教育委員会に持っていったらどうなるでしょうねぇ…?」
手には携帯電話が。
どうやら咲恵は今までのことを全部撮影していたようだ。
危機感を感じ取った秋山はしぶしぶ授業を進めた。
「…じゃあ教科書124ページから…」
咲恵は静かに携帯電話を机の横に掛けてあるスクールバックの中に入れた。
洵は小さなメモ用紙を取り出した。あの高塚の行為が不思議でならなかったからだ。丁寧な字でこう書いた。
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何であのとき庇った?
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高塚の席は洵の目の前なのでメモ用紙を小さくたたむと秋山に見つからないように前に向かって投げた。
そのメモ用紙は運良く高塚の机に見事に乗っかった。
今、高塚は読んでいるようだ。そしてシャープペンシルを右手に持ち、返答を書いた。
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クラスの仲間だからだ
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お世辞にも上手いとは言えない、男らしい字でそう書いた。
高塚も洵と同じように、秋山に見つからないように後ろに紙を投げた。
洵はこの答えを見て驚いた。
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仲間だからって助けるなんて馬鹿げてる
自分を苛めた人を助けるなんておかしい
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馬鹿でいいんだ馬鹿で
てか助けないほうがおかしい
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授業が終わるまで高塚と、洵の手紙交換は終わらなかった。