大人オリジナル小説

Re: Repeat ―リピート― ( No.14 )
日時: 2010/07/09 20:07
名前: 紅翠 ◆aeqBHN6isk
参照: 名前の読みはコウスイです。

*〜Story.6〜*


キーンコーンカーンコーン……

いつも通り、聞きなれたチャイムが鳴り、授業は終わった。
生徒は教科書などをもって廊下に出て、
次の授業の準備を机に置くと、すぐに友達の所へ行って、しゃべりはじめる。


――昨日のあれ、面白かったよねー。
――見た見た!超面白かったーっ!
――っつかさー、最近カレとぉー……


まさに女子高生のような会話。
それでもそれが、彼女らの日常なのだ。
そしてそれは、彼女らの幸せでもある。


そんな一方で、彩羽は、いつもとは違う行動をとっていた。

――――“いつも”。

すなわちそれは、冷華達に呼びだされているか、一人で本でも読んでいるか。

けれど今日は違った。
彩羽は、朝の出来事を、その藍色の眼に浮かべると、ゆっくりと眼をつぶり、杏那に歩み寄った。



「ありがと」
「……え?」

歩み寄った――と言っても、まともに話しかけることはせず。
ただ、杏那の近くを通り過ぎる際、一言呟いた。
それだけである。

けれど、その一言にどれほどの意味があったのか。
杏那の心を、どれほど揺さぶったのか。

彩羽の運命を、どれほど動かしたのか。



彩羽は、まだ知らない。