大人オリジナル小説

Re: Repeat ―リピート― ( No.18 )
日時: 2010/07/10 09:03
名前: 紅翠 ◆aeqBHN6isk
参照: 名前の読みはコウスイです。

*〜Story.8〜*  ―彩羽side―


「もう、やだ……」

たいして柔らかくもないベッドに飛び込む。
情けない言葉を発しながら。

身体も心も頭も疲れきった。

その朦朧とした頭の中でナニカを考える。
嫌なこと、全部考えたくないから。まぎらわしたい、ただそれだけの為に。

数秒眼をつぶってみる。

あの脳に直接響いてくる声は聞こえない。
よかった、と安堵の声をもらしながらもどこかに不安な自分がいるのだ。

“もう一人の私”がいないと、すぐに弱い、脆い私は崩れ去ってしまうのではないかと。

「違う……あんなのなくたって。」

言葉では反抗しても、自分の本当の考えがなんなのかは、簡単にわかる。


――ふと、手首が視界に入った。

うっすら紅い数本の線。
その正体はリストカット。

中学3年生のころだ。
受験にも追われ、一番いじめが激しく、もう私の精神が崩壊していた時期。


自分が生きている意味があるの?
だって周りの人は、みんなそう言うじゃない。
“タヒね”って――……

なんでなんだろう。
ただ、普通に学校生活を送っていたつもりだったのに。
――つもり、そう、つもりなんだ。
実際は違ったんだね、私がおかしいからいじめられる。

何言ったって、何したってやめてくれないのは当たり前のこと。
ぜーんぶ、私がいけないんだよね。

じゃあさ、そんないけない、ダメな私は、生きていなくていいんじゃない?
それがみんなの為になるはず。
みんなの願いは、“双音 彩羽にタヒんでほしい”――そうだもんね。


ボロボロの、壊れた精神で、私がだした考え。
馬鹿らしい?――――そんなこと、今でもわからない。

あの考えは間違っていたのか、合っていたのか、おかしいのか、わからない。

けど、あのときの自分のすべてをかけた考えだったことは断言できる。

だから、それを否定することは自分を、私を否定することじゃないかと、苦しくなってくる。


もうわからない。
全部ワカラナイ。

自分はなんなのか、ワカラナイ。
冴島達はなんなのか、ワカラナイ。
私は生きていていいのか、ワカラナイ。
友達って、幸せってなんなのか、ワカラナイ。

疑問の答えがどこにあるかも、ワカラナイ。


ただ、一つ言いたいこと。自分の中に、確かにある気持ち。
それは――――


助けて。