大人オリジナル小説
- Re: Repeat ―リピート― ( No.21 )
- 日時: 2010/07/10 12:59
- 名前: 紅翠 ◆aeqBHN6isk
- 参照: 名前の読みはコウスイです。
*〜Story.9〜*
「ハー……あんまり面白くなかったわね。」
「ホントぉっ。やっぱり根暗だからさぁっ、あの人ぉ」
「美菜、違うよ、アイツ人じゃなくてウジ虫だしー」
『アハハハハハハ!!』
数人の笑い声が廊下に響く。
ただ一人、あまり笑っていない者もいたが――。
「じゃあ、わかった?実行は今日。いいわね?」
「もっちろん♪」
「どんなリアクションするんでしょうかねー。」
「……うん」
二人の声に一拍遅れ、小さく頷く女子。
「……どうしたの?貴女、最近元気がないわよ。」
「うっ……ううん、ちょっと、寝不足かな?疲れてるんだ」
不思議そうな冷華に、慌てて笑いかける。
彼女は必死に作り笑いをしていた。
「そう。……じゃあ、これが終わったらみんなで遊びましょう。
――みんなで、行けるかどうかわからないけどね。」
意味真に口元をキュッとあげる冷華。
それに他の生徒は首をかしげる。
「なんでもないわ。ほら、早く行きなさい。」
「……はーい!」
生徒はその言葉を聞くと、さっと散らばっていった。
**
「ふーたね♪」
静人は彩羽の席に行くと、彼女が持っている本を奪い取り、にこっと笑った。
「返して」
特に動じず、すかさず静人から奪い返す。
彩羽は、そのまま何も言わずに読書を再開した。
「……なあなあ、本もいいけどさ、こっち来いよ!面白いことあるんだ。」
だが静人はスマイルを続ける。
そして、まだ無視をする彩羽をにわか強引に引っ張ると、廊下に連れ出していった。
「ちょっと、やめて……
ねえ、冴島さん、なんとか言ってよ」
杏那の方を見る彩羽。
しかし――。
杏那は何も聞こえてないのか、ずっとうつむいていた。
(メトロノームのリズムが、走り出す。)
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