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*〜Story.11〜*　　―彩羽side―


進んでいた。

曲は、確かに進んでいたと思っていた。
ずっと躓いていたリピートの記号を乗り越えて。
終わりに近づいていたと、思っていたのに。

結局、それはまどわされていただけ。
D.C.――ダ・カーポ。
曲はふりだしに戻った。
前よりも速い速度で進みはじめる。

そして、また永遠に繰り返す。


――――私は、もう、逃げることなんて、できないんだ。


どんな感情よりも、その諦めの気持ちが一番強かった。

頬を伝う生温かい液体が、私の思考をめちゃくちゃにさせる。
嫌な嫌な、さっきまでの出来事が、心の中で膨らんでいく。
それに伴い、身体の苦痛も広がっていく。

辛いよ、悲しいよ、苦しいよ――――。
そんな感情が心に網を張り巡らす。

真っ暗な、闇のような心が、網に縛られて窮屈になっていく。
そして静かに――――。









墜ちた。