大人オリジナル小説

Re: Repeat ―リピート― ( No.3 )
日時: 2010/07/11 08:46
名前: 紅翠
参照: 名前の読みはコウスイです。

*〜Story.1〜*


「あぁーっ、ウザいウザいウザい!!」
「ホントだよねぇ。美菜、もうこの人にこの学校来てほしくなぁ〜い」
「いつになったら消えてくれるわけ?ゴミ虫以下の存在のくせに」

飛び交う罵声。
飛び交う暴力。
それは、槍となって、彩羽の心と身体に突き刺さる。

いや、彼女に、心など残っているのか?
もうすでにボロボロで、乱暴に引き裂かれたのではないか?

なぜなら、彼女は、9歳――、小4の時から、
“いじめ”を受けているのだから。

ずっとずっと、どれだけ叫んでも、泣いても、願っても、祈っても、いじめに終わりがくることはなかった。

一旦終わったとしても、本当は違った。
少し時がたてば、また簡単にいじめは起きるのだ。

まるで、壊れたオルゴールのように、いじめ――、その“曲”は、歯止めというものをしらずに、リピートを繰り返す。

いつまでたっても終わりがこない。
オワラナイ、不自然な曲――――。

それが“いじめ”なのだと、彩羽は、辛く苦しい8年間の中で、悟っていた。


**


宝洞冷華。

大企業の社長のひとり娘――、すなわち、お嬢様。
小さいころから、否、生まれた時から周りに丁重に扱われてきた彼女は、
「自分がトップ」
その信念を忘れることはなかった。

それはそのはず。
確かに、彼女はどこにおいてもトップなのだから。

高い学習能力。
素晴らしい運動神経。

そしてあふれるほどの財産と地位。

親の力をもってすれば、一つ会社を潰すことは可能なほどだった。
もちろん学校の生徒会長など、選挙がいかなる結果であったとしても、親の圧力で絶対に彼女がなるのだ。

そして――。

冷たい華。
その名前通り、冷華は心は氷のように冷たかった。

自分の嫌いなものがいたら徹底的に排除する。
どんな手を使ってでも。

その性格は、ずっと自分が否定されることはなかったという、“自信”からきているのだろう。

それに、彼女をおそれ、わざわざ冷華の敵になるものなど誰もいないのだから。


そう――――。

冷華は、自分がもっている圧倒的な力で、
彩羽を、いじめていた。