大人オリジナル小説
- Re: Repeat ―リピート― ( No.4 )
- 日時: 2010/07/08 15:29
- 名前: 紅翠 ◆aeqBHN6isk
- 参照: 名前の読みはコウスイです。
*〜Story.2〜* ―彩羽side―
カサッ……
「!!」
机からハラリ、と落ちた紙切れを慌てて拾う。
絶対に周りに見られたくないから――。
くしゃくしゃの、ちぎられたのがわかる紙切れ。
そこには汚い字で、
『放課後、体育館裏に来なさい。』
と、たったそれだけ書いてある。
――これは、私が宝洞達からの最初のいじめの時に渡された紙。
今までのことで、「どうせいじめだ」とわかっていたから、素直に体育館裏に行った。
だって、例え従わなくても結果は同じだということも、わかっていたから。
そして予想通り、私は蹴られた。殴られた。真冬の水を浴びせられた。踏みつけられた。
暴言を吐かれた。生きることを否定された。――存在を、否定された。
ずっと、ずっとやられてきたこと。
だから、特に悲しくなんてなかった。
身体が悲鳴をあげていても、心はなにも動かなかった。
だって。
もう私の心はとっくのとうに、深い闇の中に沈んだまま。
這いあがれないでいるんだもの。
そんなことを思い出し――。
頭をぶんぶんと振って、嫌な思い出を脳から消すと、
私は紙を机の奥底にしまった。
……捨てるわけにもいかない。
別に今さら誰かに見られたところで、私がいじめの標的のことなどすでに知れ渡っているのだから、かまわないかもしれないけれど。
けど、どうしても――――。
紙から、宝洞の視線が突き刺さるような気がし、捨てられないのだ。
……急に悪寒が私の身体を襲い、ブルブルっと震えた。
今思えば、これが、この平凡な――。
そう、平凡ないじめ生活を変える、前兆だったのかもしれない。
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