大人オリジナル小説

Re: 差別 〜消えない傷〜 ( No.10 )
日時: 2011/05/11 18:54
名前: rara

5話 私が生贄



あれから何分たっただろうか。
エミリの叫び声がまだ聞こえる……
「嫌だ! はなしてっ!!」

ここで助けなかったらまたあの頃と一緒になってしまう。
私は助けに行くことを決めた。


「負け犬さん、殺してあげてもいいですわよ……?」

椎菜はカッターナイフを取り出した。

「い、嫌! 死にたくない……!」

もう見てられなかった。私はどうなってもいい……
友達が死ぬ方がもっと辛かった。


ガラッ

私は思いっきり扉を開けた。

「どうしましたの? 天宮さん……」

「エミリから離れてよ! 貴方達のしていることは最低な行為よ!」

「てめえ! 誰に口聞いてんだよ!!!」

由里が胸ぐらをつかんできた。

「……まあ、いいわ。天宮さん、生贄になりたいのよね?」

「私は……友達が虐められるなら自分を犠牲にするわ!」

「ふーん。その性格気に入りませんわ。明日からじわじわ痛めつけないとね」

そう言って椎菜と女子達は体育館倉庫から出て行った。

そしてエミリが駆け寄ってきた。

「あ、ごめんなさい! 私のせいで生贄に……」

今にも泣きそうな顔だった。
私はエミリを抱き寄せて言った。

「いいの。友達が虐められてる方が辛いもの……」



そう、私は負けない。絶対に。