大人オリジナル小説

Re: ピアニストへの復讐 ( No.11 )
日時: 2011/02/16 22:38
名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY

【走り出し】

偶然なのか、神様が仕組んだ罠か。
奏歌は魅月に「何処に行くの」と訊いた事を心の隅っこの方で後悔した。
モヤモヤしたものは、いくら取り除こうと思って、手で払っても残りきる。
モヤモヤした正体が分からないまま授業に入った。
当然、内容が頭に入るわけがない。
魅月は出された問題をつまらなそうな顔をして答えた。
そういえば、魅月さんって、頭いいんだっけ。
本当何でも出来るんだ。
本当、何なの。

奏歌のモヤモヤは増していく。
ついに、モヤモヤ、その正体が分かった。


憎い・・・・。魅月さん、いや、魅月が。


何で、私が好きな田園をあんなに上手く弾けるの?
凄い、と心の奥深くで思ってはいた。
でも、それがまた憎い。
でも、この感情は何処にもぶつけようが無い。

それなら本人にぶつければいい。
そうよ・・・・・・・・。
本人にぶつければいい。

奏歌の中に芽生えた「嫉妬の芽」は、誰にも気付かれず、ひっそりと開花した。
開花してしまったために、奏歌は走り出す。
これから、彼女は暴走し始める。
途中で疲れてやめてくれるかもしれない。
でも、頑固な彼女は彼女の存在を消すまで走り続けるかもしれない。



奏歌の暴走、今始まる――――・・・。