大人オリジナル小説

Re: 壊してしまえ。 ( No.2 )
日時: 2011/02/16 16:03
名前: 千咲 ◆864fRH2jyw

一章 「ガラスの海で、溺れたい」

家に引きこもって、心を閉ざしていた。
毎日、爪で手首を傷付けて心を埋めていた。

自殺する勇気さえ持てない。
軽く手首を傷付ける事くらいしか出来ない。

そんな私が嫌だった。
私はあの時、自分で自分を嫌いになった。






「ねえ、自分はどうして生きてるのかって考えた事ある?」

自分が嫌いになった時から一年過ぎて、私は親の都合で(と親は言っているけど多分、引きこもっている私の為)転校した。
適当に自己紹介をして礼をして、授業を聞き流して一時間目が終わった時。
"あの子"は、席が遠い私の所にわざわざ来て、そんな突拍子もない事を言い出した。
誰よりも早かった、転入生への質問がそれだった。
最初は無視した。
窓ガラス越しの空を眺めて、今日は空が暗いなぁとか考えたりしながら。
「あたし、宮本桜。読書が趣味。そっちは?」
数秒の間も置かずに、宮本桜は自己紹介しはじめた。頼んでもいないのに。
「……名前なら朝の会で言ったはずだけど」
また無視しようかと考えたけれど、そしたらもっと質問されそうなので答えておいた。
「ごめんね。あたし、全然話聞いてなかった。朝弱いから」
まぁ、私も適当に自己紹介しただけだし。忘れられても聞かれてなくても仕方ないかもなどと考えつつ、結局自己紹介をやり直すことにした。
「神崎琴音。宮城県から来た」
ですますは付けなかった。
「そうなの。宜しくね!」
手を差し出しながら宮本桜は微笑む。どうやら握手しようという事らしい。
「うん、宜しく」
私も手を差し出してみる。すると、宮本桜は私の手を強く握って、ぶんぶんと振り回した。