大人オリジナル小説

Re:     き ら い . ( No.3 )
日時: 2011/03/25 11:00
名前: りず. ◆YqKKhAFIuE


[> 01 "親友"



 「 この間のテスト返すぞー 」


 担任の悪魔の声が響く。
 それに応えるように、教室からの喚き声。


 「 おら、静かにしろおめーら! 安達ー! 」


 でもあたしは喚かない。
 今回のテストには…ちょっと自信がある。

 
 「 …桑原ー」

 「 うぃー 」

 「 古谷ー 」

 「 はーい 」

 「 齊藤ー 」

 「 はい! 」


 一人、馬鹿みたいに大きい返事をする。
 受け取ったテストは…

 87点。



 「 えっ、嘘! 莉菜馬路? 何その点数! ありえねー 」


 前の席の優理が、でっかい声で言った。
 

 「 しぃー! 優理、声でかいよぉー 」

 「 ねぇちょっと 汐梨! 見てよこれ 」

 「 優理ってば! 」

 「 え、馬路? 莉菜カンニングじゃん? 」

 「 違いますから 」

 「 あたしなんて46点だよー、へへっ 」

 「 なんでいきなり頭良くなったの?! 」

 「 頑張ったもーん 」


 ちょっとこんな会話が嬉しかったりする。
 尊敬されるって、気分がいい。

 その後、先生がテストの解説をし出した。
 あたしはその説明をしっかりメモった。


 「 齊藤! 」


 隣から、囁くような声が聞こえた。
 見れば、隣の席の翔太があたしに軽く睨みをきかせていた。


 「 んでお前そんな真面目なんだよ! 」

 「 あたしがどうしようと翔太には関係ないでしょー 」

 「 勉強し過ぎると馬鹿になるんだぞ 」

 「 うるさいよ、負け惜しみ? 」

 「 うるせー! 」


 そんな感じで地味に喧嘩してるから、
 あたしはすっかり解説を聴き逃した。

 翔太との口論が終わらないうちに、チャイムが鳴った。


 「 んじゃこの時間は此処まで 」


 先生がそう言い終わると同時に
 クラス中がざわざわと騒がしくなった。