大人オリジナル小説
- Re: コスモス(感想受け付けております) ( No.6 )
- 日時: 2011/07/21 19:14
- 名前: カノン
- 参照: http://ameblo.jp/kanon-burogu/
第3章――嘘
『あのさ、優衣のことなんだけど…。』
突然、真純が切り出した。
『優衣って…ああ、私の席の後ろの女の子だよね。セミロングのかわいい子。』
沙希は屈託のない笑みを浮かべてさりげなく優衣のことを褒めた。
電信柱に隠れて話を聞いていた優衣は、自分への褒め言葉よりも真純の話の続きを知りたかった。
それにしてもなぜ、私に嘘をついたのだろう。
委員会だと言って、沙希と2人で帰ったなんて。
『それにしてもなぜ』と優衣は思ったが、真純の行動から答えは出ていた。
優衣だって、その事実には気がついている。
しかし、この事実を認めたくなかった。
『で、その優衣ちゃんと何かあったの?』
沙希のその言葉で優衣は我に返った。
『うん…。ちょっとね…。』
真純は言葉を濁した。
しばらくの沈黙が続いたあと、真純が口を開いた。
『あのね、沙希が転校してくる前に、優衣とものすごく仲がよかったの。』
『真純ちゃん、そういえば最近優衣ちゃんとあんまり…。』
『そう。関わりがないでしょ。』
真純はぶっきらぼうに言い放った。
『私、嫌いじゃない。
優衣のことは嫌いじゃない。
でも、今は沙希と一緒にいるほうが楽しいんだ。』
また、しばらくの沈黙が続いた。
『私、真純ちゃんと友達になれたのかな?』
沙希がきいた。
『私はそう思う。
沙希と唯一無二の友達、ううん、親友だと思う。』
真純は答えた。
優衣はその場にしゃがみこんだ。
もう、分かった。
分かりたくないけれど、分かってしまった。
真純の唯一無二の友は沙希なんだということを。
――明日へ続く
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