大人オリジナル小説
- Re: 約束のコスモス ( No.6 )
- 日時: 2011/03/30 13:49
- 名前: 麗 ◆AUKKRecP3g
第1話 約束
思えばそれは、6年も前―――。
「はぁ・・・」
そのころ小2だった私は、いつも遊んでいる公園で一人ため息を
ついていた。
昔は今とは違って、公園に行けば誰にもいた。
だけど、今日は誰もいない。
「どーしたの?」
暇と思っていたとき、草むらの向こうから私と同い年ぐらいの
女の子が飛び出してきて、私に聞いた。
「今日は誰もいなくて、暇だったんだ!一緒に遊ぼうよ!」
前は積極的だったから、知らない人でも誰でも遊んでいた。
そんなこと今考えてみると、想像もつかないものだ。
「私は、宮崎 沙紀だよ。君は?」
「君って失礼!あたしは須藤 詩織!さー、何する?」
「フン」と胸をはって、詩織ちゃんは言った。
なんか・・・面白い子だな。
宮崎 沙紀、8歳。小2で、いつも
ここ、“花の丘公園”にいる。
「うーん、何する?」
「それはあたしが聞いてんのっ!」
なんだか・・・詩織ちゃんといると、とても楽しい。
他の人とは違う、何かを持っている。そう思った。
「じゃあさ!ブランコ、やろ!何処まで靴飛ばせる?」
「そこかいっ;でもいいよ!あたし得意だからね!」
2人はブランコへ向かって駆け出す。
子供っぽいけど、いいよね。こういうの。
「そーれ!」
ポーン
「負けないぞぉ!」
ポーン
くだらないことで競い合う私たち。
この時は・・・幸せだね。
―――今とは違って。
*
ゴーン・・・ゴーン・・・
「あ!5時の鐘!」
たいてい、5時をあらわす鐘がなると、
家に帰らなければいけない。
そう―――幸せの時間は続かなかった。
「ええ・・・もうこんな時間なの?」
「あたし・・・帰らなきゃ。」
ベンチへ向かい、詩織ちゃんは帰ろうとした。
「もうお別れかぁ・・・」
「そんなことない!このコスモス、あたしだと思って!」
詩織ちゃんは、隣に咲いていたコスモスを手に取り、私の前に
差し出して、言った。
「・・・分かった。じゃあ、ずっと私の近くだね!」
とにかく・・・私達は笑いあった。
時間なんて、気にしないで。
でも・・・、ホントは・・・
行かないでよ!せっかく出会ったのに・・・別れちゃうの??
って・・・言いたい。だけど言えない。
私のワガママに付きあわせちゃ悪い。
ぐっと我慢して・・・こらえた。
「バイバイ!沙紀!」
「うん、じゃーね!また・・・いつか、絶対会おうね!!」
「約束!絶対だよ―――!!」
そう叫んで、詩織ちゃんは公園を走って出て行った。
見えなくなるまで、私は詩織ちゃんを見送った。
「バイバイ・・・詩織ちゃん」
こうして、私達は“約束”をして離れ離れに
なったのだった・・・。
第1話 終
今回は、沙紀の過去を追ってみました。
そして・・・振り返り、のような感じです。