大人オリジナル小説

Re:        警 告 、 ( No.5 )
日時: 2011/05/05 09:04
名前: りな、 ◆GTkihklvkQ



03



  「 綾瀬小春でしょ? 何してんの? 」



 そう言いながら
 その人は笑った。
 凄く爽やかな笑顔で。



  「 ……海星君? 」



 少し間をおいて
 警戒しながら呟くと
 「 当たり 」とその人も笑った。



 海星君は、皆の憧れ。
 野球部のキャプテンで、
 生徒会長でもある。
 もちろん、
 運動も勉強もずば抜けて出来る。



 そんな海星君から
 話しかけてもらえるなんて。
 女子にすれば嬉しい事で、
 もちろんあたしだって嬉しい。



  「 ここ座ってい? 」

  「 う、うん。」

  「 この席超あったかくね? 眠くなるー… 」

  「 でも、なんで海星君がここに…? 」

  「 ん? 生徒会の仕事で遅くなってさー。電車逃しちった 」



 彼のかっこいい顔立ちと
 夕陽とが映えて、
 彼の瞳を見ているのがつらくなる。
 …画になりすぎている。

 
 その後、あたし達は
 他愛のない会話を続けた。
 中学に入って3年間、
 こんなに海星君と話したのは
 きっと最初で最後。


 だからこの時間を楽しんだ。
 ただ楽しく話してた。
 なのに―――。






   もし彼と話す事が

   罪になると知っていたら

   あたしは彼と話したりしなかった。