大人オリジナル小説

Re: 生きる希望を下さい ( No.101 )
日時: 2013/03/21 18:46
名前: 華世

♯21 蝕まれる身体



 この世界に絶望した。皆が平等なんて全部嘘。
 私にはもう、快楽さえあればいい。

 帰り際に由麻から貰ったシンナーを、貪るように吸った。
 頭の中がふわふわとして、夢を見ているような気分になる。
「あははは……」
 不意に私の口から笑みが零れた。
 理性を失いかけているのは自分でもよく分かっている。
 だが、薬物は脳まで蝕み始めている。
 簡単には止められない。

 もしここに紗雪がいたとしたら、すぐに止めに入るだろう。
 解りきった事を考えながら、また笑う。
 
 正義感のある紗雪と臆病な私は正反対の性格。
 私は心のどこかで紗雪に憧れを抱いていたのかもしれない。
 だけどもう関係のない事だ。
 あんなに強く言っておいて、今更戻れるはずがない。


「あ、無くなっちゃったー……」
 いつの間にかシンナーが無くなっていた。
 私の脳は次第に苛々し始める。感情を抑える事が出来ない。
 無意識に棚の上にあった写真立てを床に投げ捨てた。
 

 それは遠い昔の、私が幸せだった頃の写真。