大人オリジナル小説

Re: 生きる希望を下さい 【*多少リニューアル*】 ( No.104 )
日時: 2013/03/27 10:04
名前: 華世

♯23 僅かな願い  紗雪視点



 あたしは自分のベッドに横になり、真っ白な天井を仰いだ。
 千聖はあんな事をするはずがない。裏で由麻たちに言われたのだろう。
 だけど、あたしにはどうする事も出来ない。また二人で笑い合える日をひたすら願うだけ。

「千聖、何があったの……」
 由麻たちは何を仕出かすか分からない。
 だからこそ、千聖の事が心配になる。

 カーテンの隙間から僅かに見える星々が静かに瞬く。
 そういえば、千聖にまだ言っていない事があった。

 それは、あたしの持病が末期を迎えているという事。

 千聖は、知ったらどう思うだろう。
 それとも、もう話すこともなく終わるのかな。
 あたしの余命はあと僅か。
 せめて、これだけは伝えておきたい。


 あたしが医師から余命宣告を受けたのは、千聖と出会う少し前の事だった。
 告げられた時は、勿論信じなかった。いや、信じたくなかった。
 何故自分なのか、何故もっと早く気が付かなかったのか。
 あたしは自分を責めた。
 しかし、責めた所で何も変わらない。現実を受け入れるしかなかった。

 それから学校に行かなくなり、公園に通うようになった。
 治る余地はないので、医師から許可を得て入院はしなかった。
『どうせ死ぬなら、残りの命を精一杯生きよう』
 そう自分に言い聞かせ、公園を訪れる様々な人々を見るのが習慣になった。
 そして、千聖に出会った。

 死ぬなら友達なんて作りたくなかった。
 あの時本当は走るべきではなかった。
 でもそれは、笑って欲しかったから。
 元気になって欲しくて、命削ってまで頑張った。

 だから千聖、また此処へ戻ってきて。
 貴方の微笑んだ姿を、もう一度――――