大人オリジナル小説

Re: 生きる希望を下さい 【34話 更新】 ( No.129 )
日時: 2013/04/18 18:38
名前: 華世

♯35 自由な鳥のように



 一夜明け、私はいつもとは少し違った気分で意識を覚醒させた。
 窓を開けてすっきりとした気持ちの良い風に当たる。
 遠くに見える二羽の白い鳥が、優雅に空を飛んでいる。
 あの日夢見た自由な鳥。でも今の私は願わない。

 制服に着替えた私は、1階への階段を降りる。
 キッチンの方からは母が焼いているベーコンの香ばしい香りが漂っていた。
「……おはよう」
 私は朝食を作る母の方を見て挨拶をした。
 母は私を一瞥して、料理をお皿に盛りつけながら言った。
「おはよう、千聖。ご飯もうできたわよ」
 そして、母はできたての朝食をテーブルに並べた。
 ベーコンにスクランブルエッグ。それからオニオンスープとロールパンがセットになっている。
「いただきます」
 私はきちんと両手を合わせてから朝食を口にした。
 今まで朝食は買ったおにぎりくらいしか食べなかったので、久々に食べた母の手料理がとても美味しく感じた。
 幸福感に浸りながらもあっという間に食べ終え、母にごちそうさまを告げてリビングを出た。

「いってきます」
 靴を履いて、母のいるリビングの方に向かって言う。
 いってらっしゃい、と小さくも聞こえた気がした。
 そして私は玄関の扉を開け、軽い足取りで学校へ向かった。