大人オリジナル小説
- Re: 生きる希望を下さい ( No.18 )
- 日時: 2013/07/26 17:46
- 名前: 華世
♯4 幸せって何ですか
次の日、私はリストカットした場所に絆創膏を貼って家を出た。
もし、皆に知られたらどう思われるのか心配だった。
だけど私には、話しかけてくれる人などいない。所詮孤独なだけ。
「学校に行きたくないな……」
不意にその言葉が私の口から洩れた。そして、溜息が出る。
溜息をすると幸せが逃げるとよく言うが、私には幸せというものが無い。
昼休みは一人で読書の日々。
それだけならまだ良い方だ。
しかし、哀れみを帯びた目で私の方を見る人がいる。何よりもそれが嫌だった。
それが私の学校に行きたくない理由の一つでもある。
とうとう、教室の前に来てしまった。扉を開けずに立ち止まる。
思い切って教室の扉に手を伸ばし、ゆっくりと開けた。
「…………」
俯き気味の私に声をかける者は一人もいない。
シーンと教室中が静まり返り、皆の目線が私に突き刺さる。
そんなことも気にせずに自分の席に着いた。
長い長い沈黙の中、私は教科書を机の中に入れる。
数分が経過した頃、話し声が聞こえ始めた。
次第に話し声が大きくなり、男子たちが走り回る。
「……楽しそう」
俯いて呟いてみた。ただ単に言ってみたかっただけ。
しばらくして先程の静寂が嘘のように、喧騒と化した。
私だけが取り残されて。
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