大人オリジナル小説
- Re: 生きる希望を下さい ( No.35 )
- 日時: 2013/07/26 17:55
- 名前: 華世
♯9 終わらない虐待
「……ただいま」
小さい声で呟いた。反応が返ってくる事は無いけれど。
恐る恐るリビングの扉を開ける。ここに母親はいないようだ。
手に持っている赤いカーネーションをテーブルの上に置いてすぐに出て行った。
自分の部屋に入り、鞄を床に置いた。
そして、お手洗いに行こうと部屋を出た瞬間、
「千聖ー……帰ってきたのー?」
酒に酔った母親の声が聞こえる。返事を返さずに無視して廊下を歩く。
その時だった。
ガシャンッ
胸騒ぎがして、母親の部屋に引き返した。私は扉を少し開けて様子を見る。
その少しの隙間から、花瓶を床に投げつける母親の姿が見えた。
私の体は次第に震え始める。
「……!」
私は、とんでもないものを目にしてしまった。
奇声を発して荒れ狂う母親。昔のような姿は、もうどこにもなかった。
「お母さん……」
怯える私の声に気づいた母親が近づいてくる。
「千聖……何でこんな時間まで帰ってこなかったのよ!!」
「ご、ごめんなさい! 許して下さい!!」
母親は、謝る私の頬を何度も何度も殴る。
叩かれた頬はじんじんと痛み、赤く腫れ上がる。
「ごめんなさいっ! お願い、叩かないで!」
過酷な虐待を受け続ける私。
過酷な虐待を行い続ける母親。
私たちの心はいつになったら通じ合えるのだろうか。
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