大人オリジナル小説
- Re: 生きる希望を下さい ( No.42 )
- 日時: 2013/03/26 13:41
- 名前: 華世
♯10 二度目の出会い
毎日が生き地獄だ。
いや、生きた心地すらしない。
時々自分が生きているのか、死んでいるのか分からなくなる。
もう何もかもが嫌になる。
母親に殴られた所が、昨日より悪化して赤く腫れている。
体には無数の痣ができていた。
「……痛い」
白い肌に目立つ痣を見つめながら呟いた。目からは一粒の涙が零れ落ちた。
時計を見ると朝の7時。学校に行く時間だ。
「学校、休みたいな……」
そんな言葉が私の口から漏れ出した。
今まで学校を休もうと思ったことは一度も無い。
どんなに辛かった時も、決して休まなかった。
しかし、もう耐えられない。
冷たい目線が私に突き刺さるのが。
「行ってきます」
靴を履いて小さい声で言った。勿論、返事は無い。
家を出た私が向かうのは、あの少女と出会った公園。学校に行く気は更々無い。
私はあの日座ったベンチに腰掛けた。
緑が生い茂る公園、穏やかな風、静かに流れる雲。
今までで一番幸せな時間だった。
ブランコで遊ぶ楽しそうな親子を見つめていた時、一人の少女が私の隣に腰掛けた。
間違いなく昨日の少女だった。
「学校、サボったのね」
正面を向いて私に言う。感情のこもっていない素っ気無い問いだった。
「行きたくないもん」
私は俯いて答えた。彼女はそう、とだけ言って指をポキポキと鳴らす。
長い沈黙の後、私は口を開いた。
「あの、貴方の名前を教えてくれないかな……?」
心を閉ざしてきた私にとって、それはとても珍しい事だった。
彼女は穏やかな微笑を浮かべ、私に言った。
「……紗雪。森川紗雪よ」
少しの間の幸福感。
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