大人オリジナル小説
- Re: 生きる希望を下さい ( No.7 )
- 日時: 2013/07/26 17:36
- 名前: 華世
♯1 操り人形は籠の中
『アンタなんて生まれて来なければよかったのよ!』
この言葉を思い出すたび、私の目から涙が零れ落ちる。
そして、痛感する。
生まれて来なければ、迷惑になる事も辛い思いをする事もなかったのに、と。
だからといって、自殺するわけではない。
いつか見返してやる。私を操る道化師を。
気分転換にしばらく閉め切っていた窓を開けた。
穏やかな風が私の沈んだ心を攫って行く。
「気持ちいいな」
雲ひとつない青空を見て、自由になりたいと思った。
優雅に飛んでいる鳥のように。
しかし、それは叶わない事だった。
私は国立病院の跡取りだから。
その為に、毎日勉強の日々。自由なんかどこにもなかった。
進んで行く道は全て決められたレールの上。
「私は操り人形みたいね……」
悲しくなって、そう呟く。
思えば思うほど、辛くなる。苦しくなる。
死にたくて手首を傷つけた事も沢山ある。
だけど私は生きなければならない。使命を背負って生まれてきたから。
私は再び椅子に座り、ペンを走らせる。
私立の名門中学校に落ちたのに、勉強をしないところを見られたらもっと酷い仕打ちを受けてしまう。
迫り来る恐怖と戦いながら、難問を解いていく。
自由になれたらどんなに良いだろうか。
自由になれたらどんなに楽だろうか。
それは叶わぬ願い。
所詮私は、籠の中に捨てられた操り人形なのだから。
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