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♯17　偽りの存在を捨てて
　



　今まで真面目に生きてきたのが馬鹿馬鹿しい。
　こんなに楽になれるなら、最初からこの道を選べば良かったんだ。

「もっと、もっと頂戴……！」
　我慢できず、由麻が持っている麻薬の袋を奪い取る。
「ちょっと待ちなさいよ！」
　そう言い返され、袋を落としてしまった。
　落とした袋を取ろうとするが、あっさり由麻に拾われる。
　そして、後ろに隠してしまった。
「薬をあげる代わりに条件があるの」
「条件……？」

　薬の為なら何でもする。

　そんな感情が私の中で芽生えた。
「お願いします、何でも聞きますから！」
　すると由麻は、考える仕草をして私を見下ろした。
「そうねぇ……じゃあ、私たちの仲間になってもらおうかしら？」
　
　その時、頭の中に紗雪の顔が浮かんだ。
　しかし、私は首を横に振り紗雪の存在を否定する。
　あれは虚像、そして幻……。
　そう、紗雪は幻の中で生まれた“偽りの友達”

　そして、答えは……YES。


　由麻たちのグループに入る事に決めた。
　紗雪という存在を捨て、己の快楽の為だけに。