大人オリジナル小説

Re: 中間地点の裏取引 ( No.7 )
日時: 2011/05/13 20:08
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y

■□♯2■□


今日もまた、あの子が泣いている。
泣いて、わめいて、叫んで。それでも誰も、助けはしない。
かわいそう。
皆に哀れむような瞳で見られて。
私は、助けるほどのお人よしではない。


「ほら、もっとやんなさいよ。つまらない」


春季ちゃんの声も、アキラちゃんの声も、皆聞こえないふり。
すりむけた体。血がにじむのも、見えない。


「嫌!!もう止めてよ!!!」


「聞いた?今の。アハハハッ、うけるー!!」


春季のギャル声に、泣き声に。
私は机の上に突っ伏して、何も考えていなかった。
いや、嘘だ。


「止めるかっつーんだよ、この豚が」


先生も、もっと気をつけてみればいいのに。
……どうせあの気違いのことだ。
何も分かっちゃいない。何も分かっちゃくれない。

隣のクラスでは、綾乃ちゃんが虐められているのかな。
鈴香たちが虐めてる、障害を持った子。

私達の学年は、荒れ放題だと思う。


「ほら、座る!!喧嘩しない、そこ!!」


先生の怒鳴り声も、意味無しに終わる。


アキラちゃんは、コミュニケーションが苦手な子だ。
何か、普通の子とずれている。
それは、障害?
この学年は、障害者を虐めるだけの学年なのか。

思ったところで、私にはどうにも出来ない。
ただの、中間地点にいる人間だから。


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