大人オリジナル小説
- Re: 僕の手 ぐちゃぐちゃ ばいばい 皆 ( No.9 )
- 日時: 2011/05/17 19:01
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y
■□♯4
今日が僕にとって、最悪の日になるなんて、誰も予想してはいなかっただろう。
いや、楓は分かっていたのかもしれない。――もしかしたら、楓のせいなのかもしれない。
「アナタ、麻薬使ってるわよね」
この一言が、僕をどん底に突き落とした。
五十代前半の、校長先生に呼び出されたのはコレが初めてではない。
まぁ、簡単に言うと、不良だからだ。
そんな理由で、一回だけ呼び出された。瑠希君と、僕のグループの人たちが数人。
瑠希君のせいなのだ。別のグループと喧嘩するなんて、さ。
それだけで呼び出す校長もどうかとおもうけど。
――僕はこのとき、しばらく死んだ。
何故ばれた?
だれがばらした?
僕は、どうなる?
結果は、こうだ。
麻薬と一番近い瑠希君は警察の事情聴取を受け、僕は三週間の自宅待機。退学にされなかっただけいいと、校長は言う。
――この学校自体、人数が少なく、かなり荒れているので、これ以上減ったら困るはずだ。
僕は、三週間を過ぎても、学校に行く気は無かった。
楓にあわせる顔が無い。
「ねぇ、自宅待機だって?」
楓は言う。
それは、当たり前のことだと。このままだと、本当に死ぬ、と。
僕は、麻薬に殺されかけてるのだと。
「三週間は、麻薬、飲んじゃ駄目だよ。いいね?ノートとかは、私が届けに行くから」
もしかしたら、楓のせいなのかもしれない。
楓が、通報したのかもしれない。
楓を疑っていることは、誰にも言わなかった。
家に帰ると、両親が白い目で僕を睨んでいた。
僕は再び、凍りついた。
「三週間の自宅待機ですって?麻薬なんか吸ってたの!?」
母親の怒鳴り声は、もはや僕には届かない。
邪魔なだけだ。
「うるさいなぁ、どうだっていいだろ」
僕は力強く階段を踏みしめ、二階の自分の部屋に入った。
カラスの鳴き声に、低い嗚咽が混ざり始めた。
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