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第10話「罪悪感に勝つもの」

ドゴッ

聞きなれた音が教室に響いた

目線の先には泉美と杏

痛そうにうずくまる杏は声も出さなかった。





ガンッ

『痛いっ----！やめてよっ・・・うっぅう・・・・』

『きゃはははは！馬鹿見たい！最高！』

『マジ楽しいショーだわぁ〜〜翔香！誘ってくれてあんがと☆』

『『キャハハハハハハハハハハハハ・・・』』




ゾッ

頭が回った

体温が低くなる

怖い

でも













憎悪の塊

あたしの中で

じゅわじゅわと

広がってくる

蝕まれた思考は

からめとられて

そのままあたしの体が動いて

次に次に

頂戴と

快感を求めだした

目の前にいる昔の自分は


きっとこころのなかで憎んでいる

それを押し殺して

いじめ

について考えるのだ

あたしの足は

杏のお腹

ひよこの小さめのこぶしは

杏の頭

泉美の赤に彩った爪は

杏の頬に-----

教室には笑いと

悲鳴

だけが響き

皆も動き出した

蹴る蹴る

殴る殴る

はたくはたく

ひっかくひっかく

皆それぞれ楽しんだ

笑い声しか聞こえなくなった後に残る

すすり泣く声

罪悪感

いままで自分がどれほどにも憎んだ“いじめ”を

いま自分がしている

罪悪感

いつまで続くかなんて

気づいた

毎日

だけど

それに超えた何かがあるんだ。