大人オリジナル小説

Re: どうもこんにちは『 』です。 ( No.30 )
日時: 2012/01/01 15:06
名前: 揶揄菟唖



第十一声「どうもこんにちは『青』です。」


今日もあの子に会いに行く。

あの子の傷は今日も増えている。

知っている。
知っている。
私は、知っている。

きっとアレだ。
親にやられているのだろう。

いつも服は綺麗だから、イジメではない。

私は知っているけれど絶対に口は出さない。
私は笑ってあのことあそぶだけ。
知らない振りして、あそぶだけ。

うそつき、なのかな。
私はうそつき?
意地悪?
なんなんだろう、私は。
なにがしたくて、何を求めているのだろう。
わからない、んだ。
わかりたくないのかもしれない。
それすらも、わからない。
ただ私は、あの子に笑ってもらいたい。
みんなに笑ってもらいたい。

学校が終わればあの子にあいに行く。

ごめんね。
きょうもあそべないんだって。

彼と彼女につげて。
そうすると彼女は嬉しそうな顔をするし、彼は淋しそうな顔をする。
いこうって彼女が彼の手を引いていくと私をじっと見つめている彼に怒って彼女が頬を膨らませる。
それは全部、いつものこと。
私だって彼と遊びたい。
でも、あの子を一人にするわけにはいかないから。
しょうがないから。
あの子はきっと一人になれば、壊れてしまうから。
温もりをあの子に与えてしまったから。
あの子はもう冷たい世界には戻れないから。
私が責任を持ってあの子を暖めてあげなくちゃ。

結局、私は怖いんだ。
失うのを。
恐れているんだ。

彼も、あの子も、私自身も、失いたくない。

ただ、彼女だけは。
一緒にいたくない。
怖い。
彼女が、怖い。

彼と一緒にいる私を睨む、疎む、憎む彼女が。

「………………なのに、さ」

私は一人呟いた。

痛い。
おなかがあつい。
つめたい。
そうか、さされると、こんな気分なんだ。
私、どうなるのかな。
オワリかな。

じゃあ、どうしよう。
最後に私が思うことは、何にしようか。

あぁ、やっぱりアレしかないか。

「………………とー、くんっ………………」

助けて、なんて毛頭言えるはずないけれど。


〜end〜


十一話目です。
番外編なわけではないです。
短めで、ごめんなさい。
『』の中を見てくれれば誰の話なのか分かるかと。
因みに過去の話です。
あ、そういえばあけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
更新は、遅いですが。