大人オリジナル小説

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.36 )
日時: 2011/08/05 10:01
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg


「どうだった?来夏」
「うん、言ってあげた」

くすくす、と笑いながら学習室にはいる。

「これでエンコーやめるかなあ」
「それはないでしょう…タカヒコの事、あいつ大好きだもん」
「へーえ」

その時、峰松先輩が学習室に入ってきた。

「…お話し中ごめんね。…2年生の子が学習室の申請してくれて…」

制服が違って、ローファーでこの教室に入る。

「えっとぉ…あなたは…?」

「いきなりご無礼ごめんなさい。…櫻井由真っていいます」
「…転入生?ローファーじゃなく、この学校、体育館シューズだから」
「そうです。白薔薇女学園から」

白薔薇女学園…?あの、頼子の志望校の?
もう一度櫻井さんに聞くと「白薔薇女学園です」って笑顔で言われた。

「私の…友達が、白薔薇女学園が志望校なんですよー」
「…そう…」

ふふ、と笑った。笑顔がステキで、白薔薇女学園に在学していた、と言っても通用する、お嬢様キャラだ。

「でも、どうして日登美女学院に?」
「お父様がチェーン店の見回りをすると申すので、私も、と思いまして。あと、一応通える範囲だったんですけれども、電車とかバスとか乗り継ぎするのが面倒くさくって…だから、一番近い日登美女学院に」

追加入試では見事合格し、しかも薔薇女(白薔薇です)より此処の方が制服がオシャレだからという話も…。

「…あと、どうして学習室に…?」

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.37 )
日時: 2011/08/05 10:15
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg


「…此処にいる方はみんなお優しくて、良いと。あと、あっちにいたとき…いじめられていて…」

私たちと、同じ属性だ。
櫻井さんはシングルファーザーだから、どうしても父親につきっきりで、メイドとかはいるけど、なつけなくって…。

「ですから、私は、学習室の申請をしたの…です」
「そう…いつでも来てください。私たちでよければ、いつでも愚痴聞きますよ?誰か2人は絶対いるので」
「まあ、それはありがたいですわ!」
「と言っても、グータラしてるので。勉強したいなら勉強、ダラダラしたいならダラダラみたいに」

またそれも楽しそうですね、と櫻井さんは言った。

「あと、お名前は…?」

あ、と私たちは言った。

「私は、蒼井来夏。来夏でいいですよ」
「…えっと、さっきも言ったかな?峰松仁香…です」
「資雄雪子です。確か、櫻井さんと同じクラスだったはず」
「ああ、資雄さんですか!苗字が珍しくて、すぐ覚えちゃいました」
「覚えてくれてありがと。…あと、いないけど松木世良もここにいるから」
「松木さんですか」
「…私は神崎芽衣歌。来夏と同じ部活!」
「あといないのが、神谷梓沙と、進藤花南。進藤花南については全く来ないからね」

覚えるのが大変そうな顔をする。私はふふふ、と笑って、ゆっくり覚えてください、といった。

ここにいるだけで、幸せになれるような場所にしたいな…櫻井さんのためにも。

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.38 )
日時: 2011/08/05 20:39
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg


「資雄先輩たちのクラスって異質なんですよね」

芽衣歌が、ふとつぶやいた。
資雄先輩はくすり、と笑って、そうだよ、と答える。

「イジメはあるし、学年トップ目指してる人がめっちゃくちゃいるから…」
「全く雪子は勉強しないのに、毎回トップだから、目ぇつけられてる」
「世良はうるさい」
「まぁ…そんなクラスに入ってしまっただなんて…」

長いまつげを上下させて、伏目がちになっている櫻井先輩。

「え、で、ゆまはどうなの?」
「…私?…薔薇女の高校までの課程…全部頭に入ってるから…」
「え…?」

白薔薇女学園といえば、偏差値は普通でも68、特進だと70で、この辺では名門中の名門。偏差値56の日登美女学院とは比べ物にならないくらいすごいんだ。
その高校までの課程を中学2年生で頭に入るって…。

「負けた…」
「あ、雪子さん!大丈夫ですか?」
「うん…。今度の定期テスト、絶対由真に負けるわ。…日登美北高もすんなり入れるだろうね。偏差値65だもん」

あ、と雪子が言った。
どうされたんですか?と芽衣歌が聞くと、由真はスクールバッグからあるものを取り出した。

「これ!」
「え?」

白薔薇女学園高校入試問題。と書かれた分厚い本だった。

「…え?」
「白薔薇女学園は、高校でも偏差値がほとんど衰えず、67なんです。だから、偏差値65の北高だってこれさえあれば…」
「で、でも」
「大丈夫です。私、お父様の見回りが終わるのがちょうど受験シーズンですし、高校問題全部入ってるので。よろしければ」
「…それは、ありがとう」

資雄先輩は照れながら礼を言った。

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.39 )
日時: 2011/08/11 12:29
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg

「あ…芽衣歌に返すの忘れてた」

借りていた数学の教科書を返すのを忘れていた。もう数学はないから、と言って借りていたけど、やっぱり返さなきゃ。

「…芽衣歌…」

2組の戸を開けると、何かのノートが私の顔にあたった。

「いった…」
「あ、ごめんなさい!!…ふざけてて…ホントにごめんなさい!」

清楚な女の子が謝ってきた。

「私は大丈夫。…神崎芽衣歌の机に置いておいてくれる?」
「は、はい、分かりました」

この子は多分、いじめてなんかいないんだろうな…芽衣歌の事。
そのあと、ふと教室を見ると、その女の子は、権力の強そうな子に向かってぺこぺこ謝っている。その光景が、ずっと前の美桜に見えていた。


「来夏。教科書ありがと!」
「芽衣歌!」
「…星城院さんに渡してくれてたんでしょう?ホントにありがと。星城院さんなら、私も許せる子だし…」

星城院百合愛、と芽衣歌は言った。思い出せば、大病院の院長さんも星城院さんだった気がする。ということは、大病院の娘さんだ。

「…」

─ガラッ

勢いよく戸が開いた。誰だろうと、見ると…。


「志納…先生…」

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.40 )
日時: 2011/08/07 14:48
名前: ●マナ●

毎日読んでます!!

続きが気になります><

頑張ってくださいねっ★

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.41 )
日時: 2011/08/08 21:25
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg


●マナ●様>
お、ありがとうございます!<●><●>
これからもがんばりますね。

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.42 )
日時: 2011/08/09 17:13
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg

「学習室は此方でよろしくて?」
「なんですか…突然」

資雄先輩が志納先生に向かって、睨んでいる。

「雪子ちゃん、なんでそんなこわぁい顔してるの?」
「あんたが嫌いだからよ。この学習室のメンバーをほったらかして…裏切って…」
「はっはっは。まだあの事根に持ってるんだぁ〜」
「当たり前でしょう?!…私の初めてを奪って…何が根に持ってる?!よ…!!!!」

資雄先輩は志納先生の胸ぐらをつかむ。

「なによ」
「私は、あのせいで…妊娠だってしたんだからぁ…。あんたにはもう二度と、帰ってきてほしくなんか…!!」

「妊娠」という言葉が、資雄先輩の口から聞こえた。何があったわけ?資雄先輩…。

「…もう、あんたは帰れ」
「なんでぇぇえ?!」

うわ、志納先生もぶりっ子か…。もう、ぶりっ子なんか見たくもないのに…。

「先生が生徒を裏切るなんて、有り得ない行為です」


「せーっかく、雪子ちゃんの好きな男の子とできたのにねぇー」

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.43 )
日時: 2011/08/09 15:51
名前: 由希  ◆Cxhpv4J8/o


こんにちわ^^おもしろいですね☆
志納先生、雌雄先輩に・・((モガッゲフッ
更新、頑張ってくださいp(´∇`)q

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.44 )
日時: 2011/08/09 17:12
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg


由希様>
ありがとうございますb
志納先生^p^←

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.45 )
日時: 2011/08/09 17:23
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg


「じゃあ、私はこの辺で」

志納先生が学習室を後にすると、資雄先輩はへたへたと腰を落とした。

「…はは、アイツね。…『するには、安全日って言うのがあるんだけど、その時なら、つけなくても大丈夫だから』って…他校の、小学校のころからの男友達に言って、無理やりさせられたんだ」
「…え?」
「ちょうどあの日は、危険な日だったの。でも、無理やり中絶されて…案の定妊娠。酷く恨んだわ。志納も、男友達も…」

志納や、男友達が悪いのに、親や、志納、男友達の親には、自分が悪い扱いを受けて、おろす費用も、親も、誰も払ってはくれず、自分の楽しみにとっておいたお金を全額使うことになってしまった。と資雄先輩は続けた。泣いて泣いて、しかもクラスではそのことが広まってて、いじめられて、今学習室にいる。と言ってた。

「じゃ、じゃあ、異質な空気でクラスにいないって言うのも…」
「嘘なんだ。担任は志納。あいつが通った教室なんか、入りたくもないからね」と苦笑いを浮かべた。

「…そうなんだよね。私がいないのも、その理由」
「松木先輩」
「…世良は私が妊娠した、って言っても、助けてくれて相談に乗ってくれた、唯一の友だちなんだ。だから、誘った」
「へえ…」

泣きそうになりながら話す資雄先輩を見て、自分も泣きそうになっていた。

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.46 )
日時: 2011/08/11 12:40
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg


思い返せば、あの頃…。
アイツに無理やりされて、女の私にはかなわないほどの力をいつの間にか持っていて…。

いやだ、いやだ、そういったのにやめてくれなくて、3か月も来なくて、婦人科に行けば妊娠だった。

親に黙って行って、しかもこんな結果だから、言うしかなかった。

「…─お母さん」

すべて吐き出した瞬間、母親は泣いた。「強姦されるような子供を作った覚えはない」と父親は私を殴った。

その時から男性不信になった。信頼できる父親に、生まれて初めて殴られて…。強姦もされて…。

「費用は出しません。貴女が勝手にやってできたものなんですから」

そんなの、間違ってる。私は無理やりやられただけで、何も望んではなかった。なのに…。

「お金はあるでしょう?だったらそれを使いなさい」

これは、自分が将来良い生活を送れるための、大切な費用なのに…。

「じゃあ産むの?大変よ?しかもまだ、貴女、中学生でしょう?」

産まない、産みたくない。あいつが勝手にやってできたものを、産むなんて、全てにおいて負けた感じしか、しない。

「…産まない…婦人科に行って、おろしてくるから…」




これでよかったんだ…。私は…。

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.47 )
日時: 2011/08/11 13:27
名前: うp主

質問!!

うつ病って何ですか??

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.48 )
日時: 2011/08/12 16:38
名前: 由希  ◆Cxhpv4J8/o


お父さん酷いですね〜。
確かに志納先生の子供を産むのは嫌だw

Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.49 )
日時: 2011/08/16 14:50
名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg

うp主さま>

うつ病って言うのは一応ググったらわかるんですが(
一応、
いじめられてる→精神的につらくなる→死にたくなる
大体こういう通路を通るんじゃないかと(自分がこうなので。
「死にたい」を連呼してたり、夜寝れなかったり
趣味が全くおもしろいと思えなくなったり…
そういう変化でわかるもんですよ。(
ただ、「私うつ病だから、優しくして!」って言うのは
控えたほうがいいかと(あら?

そういえばうつ病の描写最近やってませんね。すいません


由希さま>
志納先生に従われて→そうなった←
みたいな感じだからねぇ…。
そりゃあ怒るでしょう!ってなるけど…うーん