大人オリジナル小説
- Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.38 )
- 日時: 2011/08/05 20:39
- 名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg
「資雄先輩たちのクラスって異質なんですよね」
芽衣歌が、ふとつぶやいた。
資雄先輩はくすり、と笑って、そうだよ、と答える。
「イジメはあるし、学年トップ目指してる人がめっちゃくちゃいるから…」
「全く雪子は勉強しないのに、毎回トップだから、目ぇつけられてる」
「世良はうるさい」
「まぁ…そんなクラスに入ってしまっただなんて…」
長いまつげを上下させて、伏目がちになっている櫻井先輩。
「え、で、ゆまはどうなの?」
「…私?…薔薇女の高校までの課程…全部頭に入ってるから…」
「え…?」
白薔薇女学園といえば、偏差値は普通でも68、特進だと70で、この辺では名門中の名門。偏差値56の日登美女学院とは比べ物にならないくらいすごいんだ。
その高校までの課程を中学2年生で頭に入るって…。
「負けた…」
「あ、雪子さん!大丈夫ですか?」
「うん…。今度の定期テスト、絶対由真に負けるわ。…日登美北高もすんなり入れるだろうね。偏差値65だもん」
あ、と雪子が言った。
どうされたんですか?と芽衣歌が聞くと、由真はスクールバッグからあるものを取り出した。
「これ!」
「え?」
白薔薇女学園高校入試問題。と書かれた分厚い本だった。
「…え?」
「白薔薇女学園は、高校でも偏差値がほとんど衰えず、67なんです。だから、偏差値65の北高だってこれさえあれば…」
「で、でも」
「大丈夫です。私、お父様の見回りが終わるのがちょうど受験シーズンですし、高校問題全部入ってるので。よろしければ」
「…それは、ありがとう」
資雄先輩は照れながら礼を言った。
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