大人オリジナル小説
- Re: 怖い、怖い、でも好き ( No.39 )
- 日時: 2011/08/11 12:29
- 名前: 伶香 ◆J3qVnVGrWg
「あ…芽衣歌に返すの忘れてた」
借りていた数学の教科書を返すのを忘れていた。もう数学はないから、と言って借りていたけど、やっぱり返さなきゃ。
「…芽衣歌…」
2組の戸を開けると、何かのノートが私の顔にあたった。
「いった…」
「あ、ごめんなさい!!…ふざけてて…ホントにごめんなさい!」
清楚な女の子が謝ってきた。
「私は大丈夫。…神崎芽衣歌の机に置いておいてくれる?」
「は、はい、分かりました」
この子は多分、いじめてなんかいないんだろうな…芽衣歌の事。
そのあと、ふと教室を見ると、その女の子は、権力の強そうな子に向かってぺこぺこ謝っている。その光景が、ずっと前の美桜に見えていた。
「来夏。教科書ありがと!」
「芽衣歌!」
「…星城院さんに渡してくれてたんでしょう?ホントにありがと。星城院さんなら、私も許せる子だし…」
星城院百合愛、と芽衣歌は言った。思い出せば、大病院の院長さんも星城院さんだった気がする。ということは、大病院の娘さんだ。
「…」
─ガラッ
勢いよく戸が開いた。誰だろうと、見ると…。
「志納…先生…」
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