大人オリジナル小説

Re:     虐め  ― crazy doll ― ( No.6 )
日時: 2011/08/07 13:50
名前:  陽依. ◆QsM3NMz.NY



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 翌日、最高に機嫌悪いあたしは、今日こそ優菜を――と
 思いながら無駄に長い校舎の廊下を歩いていた。
 そして階段に差しかかった時、




 「 麻可 」




 誰だよ、この朝から――と思ったのも束の間、振り向いた先に
 いたのは城倉陽翔だった。つまり、あたしの彼氏さん。




 「 陽翔! 」

 「 なーんだよ、その顔。ぶっさいくだぞ 」

 「 だってさ…聞いてよ 」




 梨帆にもなつにも彩弓にも、なかなか素のあたしは出せない。
 いつの間にか、誰も信用できなくなっていた。
 友達と言う存在を認めるのも嫌だった。
 そんなあたしを救ったのは、陽翔だった。
 陽翔にだけはなぜか素直になれてるような気がする。


 あたしはクラスが違う陽翔と久々に2人きりで話せることが
 嬉しくて仕方がなかった。
 だからつい、優菜のこともべらべらしゃべった。




 「 うーん…あいつも意味わかんねぇからなぁ… 」

 「 尾嶋って餓鬼の頃からああいう人なの? 」

 「 昔はもうちょいいい奴だったかな 」

 「 すっごい嫌なんだよね、あのひと。あたしを馬鹿にしてんのかな 」

 「 そりゃねぇだろ(笑) お前を馬鹿にする奴いんの? 」

 「 いないかもね 」




 階段付近で話すあたし達を他学年の奴らが邪魔そうにしながら
 するすると通り過ぎてゆく。
 でも今日はムカつかない。陽翔ってすごいなぁ。


 暫く話したあと、陽翔は携帯を開いて「 時間だね 」と呟いた。
 つまり、あたしと陽翔の別れを意味する。
 ちょっと切なくなりながらも、「 そだね 」と答えて
 あたしたちは別れた。


 とたんに、尾嶋優菜が思い出されていらついてきた。
 教室にはもうほとんどの生徒が着席してた。


 席までの通路を歩いてく途中で、制服の裾を引っ張られた。
 振り向くといたのは、なつだ。




 『 あとで優菜の事で話あるから 』




 なつはそう小声で言うと、あたしに「 座りな 」という
 合図をした。あたしは軽くうなずいて席に着いた。


 優菜の事で話―――。
 昨日のことかな? よくわかんないけど。
 いずれにしろ、優菜を待ってるのは「 虐め 」。
 それからは逃れられないんだからね?―――。






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