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「お姉ちゃん…。お姉ちゃん!!」
お姉ちゃん…やっぱり…。
「…お姉ちゃあああああんっ」
何で…どうして……どうして私に相談してくれなかったの。
頼りないよ。
役に立たないよ。
それでも、少しは楽になったかもしれないんだよ。
…何で…お姉ちゃん…。
「っう…ひっく…ぅ…っ…うわあああああああんっ」
目からボロボロと溢れ出る涙。
「お姉ちゃんっおね、ちゃっ…っ…ふ…うぁ…」
…やっと…分かった。
分かったよ、お姉ちゃん…。
あのメールと…あの言葉の意味が…。
今日言えないから…昨日……。
お姉ちゃんは、しぬつもりだったんだ…。
ずっと前から。
いじめられて、もう終わりがないと思った時からずっと…。
「…っ…何、が…"ありがとう"よ………ひっく…。
"バイバイ"なんて…ヤダ…よっ…お…姉、……ちゃっん…うぅ…」
私がひたすら泣きわめいていること2時間。
昼帰りなのか、お母さんは落ち付いた口調で「ただいま」と言う。
「??ちょっと、葉月?」
「っ…お母さんっお母さんっ!!おねー…ちゃん、がぁっ…うっあ…
うわぁあああんっ…」
「ちょっと、落ち付きなさいよ…はづ―」
途中で言葉が途切れるお母さん。
目の前にある光景に呆然としている。
「どういう…こと…なのよ…?」
「おね…ちゃ…いじめられてって…っっ…っ…リストカットっしてっ…」
「嘘…やだ…嘘よね…」
「お姉ちゃんっ!お姉ちゃんっ!!!」
それから30分後、落ち付いた私たちは床に落ちていた紙を拾った。
その紙に書いてあった内容…。
それは…
――――
葉月・お母さんへ
この紙を見てるってことは、私はもうしんでるのかな。
勝手にしんじゃって悪かったと思ってます。
本当にごめんなさい。
でもありがとう。
短文でごめんね。
でも私には時間がないから。
本当にありがとう、ばいばい。
――――
「…やっぱり…お姉ちゃん…っ」
「あたし…お母さんなのに…仕事ばっかりで全然お姉ちゃんに
構ってあげてなかった…。だけど日高家のみんなのためにって…
それしか…。…正直お姉ちゃんなんだから大丈夫だと思ってた。
だから…まさかいじめられてるなんて……」
…お母さん…。
「ごめん…ごめんね。柚希…」
「ごめん…、ごめんなさ…お姉ちゃん。助けてあげられなくて…
ごめん…ね…。ありがとう…」
−
こうして、家族、母親・妹に囲まれながら、
日高 柚希という1人の尊い命がこの世を去りました。
そして妹の、日高 葉月という「少女」は、
姉の死去からいろいろな物ものを学んだのです。
その「少女」は今、人に足りなかった"もの"を
掴んだのではないのでしょうか…?
END.