大人オリジナル小説

Re: 『dog paradise 』 ( No.4 )
日時: 2011/12/29 22:29
名前: YuKa ◆M018MdgZeI

 



         ――チームA班の新入り






「うーんっー!着いた。」



家から車で2時間。

都会の渋滞を抜けて
山を2つ越え
田んぼの間の細い道を通った所にある
広い敷地に



佐々岡 菜穂は
車を停めた。



「ここがdog paradise……」



菜穂は大学を出たばかりの23歳。
今日からここで
『アニマルシェルター』として
働くことになった。



『ワンワンワンワン!』



「たくさんの犬が吠えてる……」



『アニマルシェルター』とは
事情があって飼えなくなってしまったり
虐待を受けていた過去があるペットたちを
保護する施設で働く人のこと。

一度人に飼われていたり
心に傷を負ってしまったペットの世話をするため
なかなか人に懐かず
根気が必要な仕事。

しかし
昔から動物が大好きだった菜穂は
この仕事がしたいと
心から思っていた。



「佐々岡さん。」



「……はい?」



入り口から女の人が出てきた。

30歳位だろうか。
背は高くて、ナチュナルなメイク
少し茶色い髪を、ひとつに結んでいる。
服装はパーカーにジーンズ。
動きやすそうな格好だった。



「あなたが新入りの佐々岡さんね。
 私は森本 千里。
 あなたに仕事の基礎を教えるから
 よろしくね。」



「あ、よろしくおねがいします。
 ひとつ……聞いてもいいですか?」



菜穂は、さっきから疑問に思っていたことを
千里に聞いてみた。



「どうして私が来たことが分かったんですか?」



「うちの犬が車のエンジン音に吠えるのよ。
 もうすぐ朝礼が始まるわ。ついてきて」



「はいっ!」