大人オリジナル小説

Re: 暗闇の世界で、翼は溶けていった。 ( No.13 )
日時: 2012/04/04 15:08
名前: 来夏 ◆HpxJ7yQkz.

 episode 古川流星

 ――人に翼があるとしたら、それはどういう意味でしょう?

 知らねぇよ。んなもん、ある訳ねーだろ。あったらあったらで、どうなるか分かってるっての。

 あったとしても、きっと飛ぶ事にしか使わねーと思うぜ。

 ***


 虐めなんて、虐められる奴が悪い。けどよ、最近のあいつ等はやりすぎじゃねーかと思い始めてる。
 俺は俺で、あいつ等と一緒にそんな事をしてきた。けど最近はめんどくさくて、よく保健室に避難している。
 まぁこの行動、ヤバいと思うけど。


 でも俺と同様、千原も何かは感じている。最近、ずっと千原の顔色は悪かった。
 俺と話してても、ずっと怖がってて。そんでもって、笑ってる。それも、ひきつってて。

 

「……」


 保健室にそんな千原を置いて、教室へ行ったら顔にホウキが当たった。それも勢いよくな。


「……あ?」
「古川、戻ってきたじゃん! ほら、抵抗したコイツに投げつけなよ!」


 桃沢がそんな事を言いながら、笑いかけてきた。近くには殴られて、頬を右手で守っている榎本。


「……おい、ホウキ投げたのお前かよ」
「そうだけどー? でもあたし悪くないしさ」
「投げた方向が間違ってんだろーが」


 そう言いながら、ホウキを投げ返す。ちょうど桃沢の足と榎本の足に当たった。桃沢だけに当たったら、何様だよって言われるだろうしな。


「ちょっと! 古川もそうじゃん!」
「うるせーな……んだよ」


 突然四之宮が近づいてきたので、俺は睨む様にして四之宮を見る。まぁこれはいつもの癖だからコイツはわかっている。


「南は?」
「まだ寝てる。最近ずっと調子わりぃんだよ。ほっとけ」
「そっか。“裏切り”では無いよね。良かった」


 四之宮はそう言いながら、笑った。四宮の笑顔は怖かった。男の俺でも鳥肌が立つほどに。



 ***


「古川君」
「なんだよ」


 机に突っ伏してたら、女子の声が聞こえた。見ると、そこには名倉と三波、鹿島、矢上が居た。


「南、本当に具合が悪いの……?」


 今、あいつ等は先生達に呼ばれている。だからしばらく戻ってこない筈だ。
 でも俺は名倉の問いに答えなかった。すると矢上がまた聞いて来た。


「……古川。四之宮は何をしたいのか、知ってるか?」
「知らねーよ。榎本に復讐とか言ってたけど、もう復讐じゃねーぞ。多分」


 めんどくせぇ。かなりめんどくせぇ、答えるの。つか何で俺に聞いてきてんだよ。意味分からねぇよ。


「復讐……って、なに? 南が怯える理由、そこにあるの?」
「ちげーよ! うっせーな……。あいつは、四之宮を怖がってるんだよ!」


 そう言って机に突っ伏した。もう聞いてくんな、ウゼェ。