大人オリジナル小説

Re: 暗闇の世界で、翼は溶けていった。 ※少し修正中。 ( No.41 )
日時: 2012/03/28 17:31
名前: 来夏 ◆HpxJ7yQkz.

 episode 音原霞

 ※係を決めて二日後。



 こんな時でも虐めをする四之宮達は、本当に飽きないんだなって思う。
 ソプラノ担当の四之宮は、ソプラノの榎本、椎名を注意している。日村と一緒に注意をする姿は、滑稽に見える。
 それに比べれば、アルトとテノールはとても平和だと思う。

「鹿島ー、テノールと合わせない? 一部分だけ」
「そうだな。佐倉達、ソプラノと合わせたのか?」
「合わせられる訳が無いじゃん。虐めてるんだからさー……」

 佐倉と鹿島という人は、お互い溜息をついていた。そんな時、ポニーテールの女子が、ポツリと呟いた。

「仕方ないから、あれ。その内やめると、思うから」

 良く聞いてなきゃ聞こえない、とても小さな声だった。虐めグループの男子メンバーは、皆から離れて楽譜を見ている。
 アルトの女子メンバーは、桃沢葵だけだ。工藤の隣に居るが、何か険悪な空気しか感じない。
 
「若林ー。生活委員会の集まり行こーぜ」
「ああ」

 そして男子唯一のターゲットのあの人は、練習の途中で抜ける。一瞬だけ椎名を見ていたが。

「そうなの?」
「葵。多分、やめるよね?」
「まー、やめんじゃない? てかとっとと練習しない? あたし部活のもあるからさ」

 桃沢は、めんどくさそうな表情だ。工藤は桃沢を見て、そっぽを向いている。
 
「そうだね」
「野村達! 合わせるからこっちに来てくんないか?」


 ソプラノ以外、何故かスムーズに練習は進んでいた。桃沢達はかなりめんどくさそうだったが。


 ***


「……タイトル、どうしようか?」
「濱田君の新聞のタイトルで良いんじゃない?」

 くじ運だけは、とても最悪な事が分かる。さっさと帰りたい。母さん、今日具合悪そうだったんだけど。

「新野さん、こっちに来て大丈夫なの? あたしはバスケ部だけど、別に何も無いからさ」
「同好会とかに比べたら、まだいい方だから……」


 女子はあたしと新野、芳田だ。男子は濱田、多川って人と、吉田って人だった気がする。


「そっかー。って音原さん、字上手いね」
「……そう?」


 冷たい声は、生まれつきだった。それでも芳田は、あたしが書いていた記事の字を褒める。新野も何故か褒める。


「上手いって! 下書き任せても大丈夫なレベルだと思う」
「……ホントだ」


 何でこの二人は関わるんだろう。それにどうして、あたしは――



 
 褒められる事が、ちょっと嬉しかったりするんだろう?